中国・ロシアの「決済システム」の連携強化が「ドル覇権」終焉を加速させる…注目は経済成長が著しいインドの動向

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中露
中露の決済システムの現状と将来について解説します(写真:FabrikaSimf/PIXTA)
ウクライナ戦争やトランプ関税は、中露の連携をいっそう強化させることが予想される。両国の関係強化は、他国をも巻き込んで「ドル覇権」の終焉まで行き着くのだろうか。
通貨・決済分野の第一人者で、近著『決済インフラ大全〔2030年版〕』を上梓した宿輪純一氏が、中露の決済システムの現状と将来について解説する。

 世界の地政学リスクは高まっている。長年続いている中東の紛争は言うまでもなく、ロシアによるウクライナ侵攻は3年を超えている。

アメリカトランプ大統領の政策は不確実ながら、関税の引き上げ等の政策は対中国を意識している。また、世界では、長い期間を経て民主主義が進んだはずなのであるが、ロシアなどに独裁的な存在がいるのも、何か不思議で残念である。

ウクライナに執着するロシア

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ロシアはウクライナへの執着が強い。近年、幾度もウクライナへ侵攻している。前回は2014年にクリミア半島に侵攻した。これは実は歴史的な深い背景がある。

現在のロシアは1991年に誕生した。その前にあった国が、ソビエト連邦(ソ連)であった。ソビエト連邦の構成はアメリカの州のように15の共和国が存在していた。ソ連では共産党書記長が国家首席となっていた。

ソ連の国家主席(書記長)にフルシチョフ氏がいた。彼は1953~1964年の11年の間、最高指導者であった。彼はウクライナ共和国出身の政治家で、ソ連の最高指導者だった時に、そもそもはロシア共和国の領土であったクリミア半島を、1954年、ウクライナに割譲した。この歴史が、2014年のクリミア侵攻の背景である。要は、ロシアは“取り返した”のである。

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