中国・ロシアの「決済システム」の連携強化が「ドル覇権」終焉を加速させる…注目は経済成長が著しいインドの動向
その時に、西側諸国は、ロシアに対して“初”とも言える強い経済制裁を導入した。その一つがドルを始めとした西側諸国の通貨および決済システムの使用を禁止した経済制裁である。ドルをはじめとした西側の通貨や決済システムに依存していたロシアは混乱することとなった。結果、ロシアは自国の決済システムや決済インフラを整備せざるをえなくなった。
国際金融の世界で、有名だったのが、ソ連邦国立銀行ゴスバンクで、1921年に設立された。この銀行が特徴的だったのは、中央銀行業務と行いながら、民間銀行としての業務も行っていたことである。その後、ロシア誕生とともに1991年に改組され、ロシア中央銀行となった。
ロシア独自の決済システム
クリミア侵攻後の経済制裁で、整備されたロシア経済・社会の決済システムの中心となったのは中央銀行決済システムである。ロシアの中央銀行決済システムは、SPFS(ロシア語:Sistema Peredachi Finansovykh Soobscheniy/英語:Financial Messaging Transfer System)である。
さらには、リテール決済のクレジットカードの分野でも、VISAカードやマスターカードによる決済が大勢であったが、共にアメリカの企業であり、アメリカ内の決済システムが使われていた。その後、同様に自国で「ミール」 (MIR)というクレジットカード決済システムを作り上げた。MIRとは地球といった意味である。
このように、ロシアは西側諸国から経済制裁の一環として、決済システムが遮断され、やむなく自国の決済システム(インフラ)を構築していくこととなったのである。
ちなみに、過去より、ロシアの通貨制度は銀本位制度が基本であり、ロシア・ルーブル(Ruble)は、銀(の塊)が語源といわれている。クリミア侵攻の後のロシアの決済システムをはじめとした決済インフラ全体の整備により、ロシアは自国通貨ルーブルを決済に用いることとなった。その後、2022年には、ロシアはプーチンの下、さらにウクライナに侵攻した。
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