3月27日、ドル円相場は1年8カ月ぶりに1ドル160円台に乗せた。その後、反落しているものの、ドル高値圏で推移は続いている。イラン攻撃後、為替市場では「原油価格上昇→貿易収支赤字拡大→円売り圧力増大」という連想に立って円売りが進められており、これ自体はファンダメンタルズな変化を織り込んだ論理的な反応と言える。
とはいえ、この連想自体は正しいものだとしても、その経緯が複雑であることは注意を要する。
というのも、既報の通り、日本では石油備蓄の放出が順次始まっている。備蓄放出は輸入を代替するため、貿易収支赤字の拡大は数カ月単位で先送り(あるいは抑制)されることになる。よって、当面(3~4カ月間)で確認される貿易収支は市場参加者の懸念ほどは悪化しないはずだ。
しかし、それは本来輸入すべき数量を備蓄と交換しているだけの状況でもあり、その先に起きる変化はかなり段差を伴う恐れがある。
その段差はかなり大きなものになり、さしずめ「崖」と形容できるほどの変化になるかもしれない。
備蓄放出後に輸入額を急膨張させる3要素
というのも、備蓄放出の効果が切れると、まず備蓄で抑制していた「数量」の反動増が到来する。前月まで備蓄のおかげで不要になっていた分が必要になることに加え、放出した備蓄を補充する必要もあるため、輸入の「数量」自体が前月比で非常に大きな増加をもたらす。
もちろん、その際、海外から購入する原油の「価格」は急騰しており、円建てで見れば円安による「為替」の効果も乗ってくる。つまり、ある瞬間を境に数量・価格・為替の3要素から原油の輸入金額が急膨張し、赤字も急拡大を強いられるおそれがある。
さしずめ「貿易赤字の崖」ともいえる問題が予見される。この「ある瞬間」に対して頭の体操を進めておく必要がある。
結論から言えば、5月に2度目の放出がある(が3度目の放出はない)とした場合、早ければ6月、順当には7月の貿易統計などから変調が見られる可能性がある。統計が確認されるタイミングとしては7月ないし8月という話になる。
もっとも、備蓄が大きくない液化天然ガス(LNG)や石炭はもっと早く輸入の数字が膨らんでくる可能性があることには注意されたい。






















無料会員登録はこちら
ログインはこちら