アメリカのトランプ大統領がイランとの戦争に踏み切ったロジックを読み解くのは難しい。だが、戦争の最大の受益者を見抜くのは簡単だ。それは、ロシアのプーチン大統領である。
トランプとその取り巻きたちは、イランのイスラム共和国体制に対する軍事行動を正当化するためにイラン指導部を「邪悪」な存在と描き、道徳的な怒りに強く訴えている。イランの体制は「自国民を容赦なく弾圧」しているため、アメリカが直接介入して同国の統治者を変えなくてはならないと力説しているわけだ。
開戦の理屈すら整えられないトランプ政権
まったくもって検証に耐えられる理屈ではない。アメリカから体制転換の戦争を招くことなく自国民を弾圧している指導者は世界にはたくさんいる。プーチンは政敵を国内外で殺害していることで有名だが、それでもトランプはプーチンにわざわざ歩み寄る行動を続けている。
仮に「邪悪さ」だけが戦争の根拠だとしたら、地政学的な風景はまったく違ったものになっているだろう。
さらにいえば、イランのイスラム共和国体制は何十年にもわたって国民を弾圧し続けてきたにもかかわらず、アメリカは何もしてこなかった。トランプの動機が何であれ、そこにはイラン国民への思いやりなど含まれてはいない。
それでは、核の脅威についてはどうなのか。イランが核兵器を開発し、アメリカに向けて発射する脅威は、このタイミングでの全面戦争を正当化できるほど差し迫ったものになっていたとはいえないか。
そうした理屈も、説得力があるとは思えない。アメリカのウィトコフ中東担当特使は、イランは「あと1週間」で核兵器開発能力を獲得すると主張しているが、だとすれば、昨年6月の攻撃でイランの核施設を「壊滅させた」とするトランプの主張とつじつまが合わなくなる。




















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