超音速ミサイルが暴いた「絶対防衛」の虚構 矛も盾も弱体化しつつあるアメリカ軍事力の行方

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2026年3月24日、ヨルダン川西岸地区のキフル・ハリスで、パレスチナ人たちがイラン製ミサイルの残骸を調査している。イランは前夜、イスラエルのエイラート、ディモナ、テルアビブの各都市および中東にある米軍基地に対し、ミサイルとドローンによる攻撃を仕掛けた(写真:2026 Bloomberg Finance LP)

高校の漢文の教科書に必ず出てきた有名な話がある。それは矛と盾を売る2人の商人の話だ。どんな盾でも貫く矛(ほこ)とどんな矛からも守る盾(たて)の話で、これが正しければ2人のどちらかがうそをついていることになる。これが「矛盾」ということばの起源である。ヨーロッパでいえば、は「クレタ人のうそつき」となる。

これは攻撃と防御についてもいえる。イスラエルはミサイル防衛網、いわゆる「アイアンドーム」を30兆円もかけて敷設した。絶対に打ち破れない盾というわけだ。しかし、完璧なものもすぐに時代遅れになる。イランは、超音速のミサイルを開発し、迎撃ミサイル網を破壊してしまったのである。

完璧な軍事力は存在するのか

今起こっているウクライナ戦争とイラン戦争を見ると、まず言えることは「軍事において、永遠に相手に優越する武器を持つことなどできない」ということだ。日本はアメリカから完璧なミサイル防衛システムを膨大な国税を支出して買おうとしているが、これほど無駄な話はない。

百歩譲って完璧な防衛ミサイルがもしありうるとすれば、それは相手のミサイルより前に先制攻撃をすることである。しかし、これはもはや防衛ではなく、攻撃となる。

完璧な軍事力を維持しようとすると、武器の開発は果てしなく続くことになる。そして膨大な税金がそこに投入され、敵の攻撃を受ける前に、経済的に破産の憂き目に遭うのである。

現にミサイル価格も高騰していて、1発100万ドルを超える。今まで見くびっていた後進諸国がそれを、数万ドルでつくってしまうとすれば、撃ち合ったら戦争で敗北する前に財政破綻してしまうかもしれない。

さらにそんなミサイルを運用するためには高度なレーダー網や衛星、通信システムというインフラが必要であり、膨大な予算はそのインフラのためにも投資される。もしこれらインフラ一つでも破壊されれば、肝心の迎撃ミサイルは機能しなくなるのである。

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