中国・ロシアの「決済システム」の連携強化が「ドル覇権」終焉を加速させる…注目は経済成長が著しいインドの動向

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通貨は「決済インフラ」によって支えられているものである。ロシア・ルーブルは、2014年のクリミア侵攻の後、中央銀行を中心として決済システムが整備され、変動相場制を支えている。

通貨としてのルーブルは、現在は1ドル=85ルーブル当たりで取引されているが、ウクライナ侵攻前はより高値の70ルーブル当たりで安定していた。侵攻直後は150ルーブル当たりまで売られたものの、その後は、90ルーブル程度で推移し、今年になって、強含んで85ルーブルになっている。

ルーブルが下落しない背景

通貨は“経済力”を示すものである。特に最近の強含みには、意味があると考えている。アメリカをなど西側諸国と対立関係を背景として、中国と政治的にも、金融的にも親密化している。

ロシアは戦闘機やロケットなどで先進大国のようなイメージがあるが、人口は約1億5000万人である。一方、中国は、約15億人である。基本的に、人口と経済規模は比例するといわれており、ロシアと中国の人口比率は、ほぼ1:10で、実際、経済規模(GDP)でも、ほぼ同様に1:10、つまりは1割程度なのである。

金融としても、中国の中央銀行決済システムCNAPS(China National Advanced Payment System)との接続が始まっている。中国側とすると、CBDC(中央銀行デジタル通貨)デジタル人民元の拡大にもつなげたいとの思惑もある。この関係の相乗的な強化が、最近のルーブル高のベースにあると考えている。

今後、ロシアと中国は、西側諸国との関係が良くない国として、敵の敵は味方的なところもあり、さらなる経済の緊密化が進んでいくこととなろう。経済規模からいって、経済・金融の面では、ロシアは中国に支えられる形になっていくだろう。そうなるとあくまでも将来の可能性としては、人民元がロシアの通貨として使われていくこともあり得る。

現在、アメリカ・西側諸国と中国・ロシアとの対立は、激化の一途を辿っている。ということは、中国とロシアの結び付きも強化されるということである。特に経済圏としても、決済システムが接続されはじめていることから、一体化されていく流れは始まっている。

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