2025年12月、「中国が『EUV(極端紫外線)露光装置』の試作に成功した」というニュースが駆け巡った。
EUV露光装置は、最先端の半導体を製造するためには不可欠で、トップレベルの技術力を示す代名詞のような存在だ。現在、この装置を製造できるのは唯一、オランダの露光装置メーカー・ASMLのみ。中国はアメリカの輸出規制により、このASMLからEUV露光装置を購入できなくなった。自力での開発を急いでいる。
「早ければ2年、遅くとも5年以内には中国は量産レベルの国産EUVでブレークスルーできるでしょう」
中国の半導体受託製造大手・SMIC(中芯国際)の創業者、リチャード・チャン(張汝京)氏は今年1月、東洋経済に掲載されたインタビューでそう語った。チャン氏はASMLとは異なる方式での開発が進んでいることを明かし、中国のEUV国産化に自信を見せた。
だが半導体メーカーで露光工程を担当していたあるエンジニアは、「仮に露光装置が完成したとして、先端半導体の量産に必要なのはそれだけではない。少なくとも現状では、日本メーカーの技術力が必要」と指摘する。いったいどういうことなのか。
世界で1社しか作れない"超精密印刷機"
数百ある半導体の製造プロセスの中で、半導体の基板となるシリコンウェハーに回路パターンを焼き付ける工程を「露光」と呼ぶ。その工程を担当する露光装置はいわば“超精密な印刷機”だ。先端半導体の回路は、その線幅がナノメートル単位と極小。回路が微細になるほど、より細い線を描ける印刷機が必要になる。その最高峰に位置するのがEUV露光装置で、1台当たり400〜500億円もするといわれるほど。半導体製造装置の中でも飛び抜けて高額だ。
前出のエンジニアは「チップを量産につなげるためには順番がある。まず装置ができ、次に材料ができ、そこから初めて『すり合わせ』の工程が始まる」と解説する。露光装置はその出発点にすぎない、というわけだ。
具体的に見ていこう。露光装置ができたとして、次に必要になるのは「ちゃんと刷れているか」を確かめる手段だ。






















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