語られない「台湾有事」ロシアの重要な立ち位置 中国に「引き摺り込まれる」可能性もある
台湾有事が議論される際にロシアの名前が挙がるのはめずらしいことではない。2022年2月にロシアがウクライナを侵攻して以来、西側と日本の専門家の多くは、中国が台湾に対して同様の”暴力的行動”を取るかどうかを検討してきた。
ロシアによるウクライナ侵攻は、台湾に対する中国の行動についていくつかの教訓を与えている。しかし、ロシアは別の点でも台湾有事に関連している。ロシアは中国との緊密なパートナーシップにより、台湾有事に直接巻き込まれる可能性もある。中国による台湾への軍事侵攻を研究するほとんどのシミュレーションでは、ロシアの役割は考慮されていない。これは見落としだ。
ますます緊密になっている露中関係
ロシアと中国の関係は、ほぼ四半世紀にわたって着実に緊密になってきている。転機となったのは、1989年のミハイル・ゴルバチョフソ連共産党書記長(当時)の中国訪問だった。
この首脳会議は、冷戦時代の共産主義大国間の緊迫を終わらせた。ソ連崩壊後、ロシアと中国は1996年に戦略的パートナーシップを発表。2001年に中露善隣友好協力条約に署名し、2004年には二国間領土問題を解決した。
ロシアのウクライナ侵攻により、この傾向は加速した。2014年のクリミア併合の結果、ロシアは西側諸国から孤立し、結果的にロシアの中国への政治的、経済的依存は増大した。
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