小野寺五典氏「日本攻撃の可能性は否定できない」 台湾有事で日本に問われる2つの危機対応能力
中国による台湾工作のシナリオ
塩田:今年6月のインタビューで「2014年にロシアが初めてウクライナを侵略したときから、戦争の仕方が変わった」と発言されました。戦争の仕方が変わったことによって、中国は台湾統一を目指す際、従来型の制海権・制空権の確保だけでなく、サイバー攻撃などさまざまな仕掛けを講じるのでは、と思いますが、どんなシナリオが考えられますか。
小野寺:サイバー攻撃はすでに行われています。台湾に行って、私たちが情報を集めるとき、中国からどのようなサイバー攻撃がされているか、綿密に聞いています。次に日本に攻撃するときは、当然、サイバーで同じようにしてくる。それは警戒すべきです。
中国の対台湾工作のシナリオで、間違いなくすぐ起きるのは、台湾に対する海底ケーブルの遮断、切断でしょう。情報通信網、各国のサイバー空間は現在、基本的にそれぞれの国が海底ケーブルでつながっています。これがすべて遮断されれば、情報通信網は機能しなくなる。台湾も同じくそれを警戒していると思います。
とはいえ、対策は難しいですね。当然、海中・水中の警戒監視が重要です。ただ、中国本土に向いたものは、中国も自分で切断できます。そこを回避した形にする。日本や、ほかの島、陸地を通じたところにケーブル網を多数引き、強化・強靱化していく手があります。ほかには、ケーブルを使わず、衛星を使う形での通信網とか、いろいろな抗たん性を台湾も用意しているのではないかと思います。
塩田:台湾有事が懸念されている現在、実際に台湾の人たちの中国本土に対する感情に変化が生じているのでしょうか。
小野寺:2つあると思います。1つは中国に対する経済的、文化的な思い、もう1つはそれ以上に強い警戒心ですね。
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