小野寺五典氏「台湾有事なら米中は軍事衝突へ」 迫り来る「眼前の危機」に日本はどう備えるか
中国は着々と準備している
塩田潮(以下、塩田):膨張主義を隠さない中国が、武力で台湾の支配を目指す「台湾有事」を懸念する声が内外で高まっています。その現実的可能性をどう見通していますか。
小野寺五典(以下、小野寺):危機は、起こらないと思っていたときに起こってしまう。つねに可能性ありと思って考えるのが最も重要だと思います。起きたとき、日本は一番、被害を受ける国の1つです。だから、絶対に起こしてはいけない。起こさないためには、起きる可能性を想定してつねに備えておく。それが一番、大事かと思っています。
塩田:台湾有事の可能性が高まっているといわれるのは、何よりも中国の事情が大きく影響していると思われます。中国の政治・軍事情勢をどう分析していますか。
小野寺:軍事的側面から見れば、間違いなく中国は台湾への武力侵攻の準備を着々としています。アメリカを含めた台湾支援の国の防衛装備を近接拒否するさまざまな装備、たとえば空母キラーといわれるミサイルや、中国自身が制海権・制空権を持つための空母艦隊とか潜水艦能力とか、こういうものを着実に準備しています。台湾攻撃を想定した形で沿海部に基地を増強しているという一部報道もあります。防衛装備を考えれば、一貫して侵略想定を続けていると思います。
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