小野寺五典氏「台湾有事なら米中は軍事衝突へ」 迫り来る「眼前の危機」に日本はどう備えるか

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小野寺:NATOは北米とヨーロッパの軍事同盟で、アジアは入れません。どうやって日本と関係を作るか。私は今回、自衛隊の次期主力戦闘機の開発を、あえてアメリカでなく、イギリスとイタリアと組むように後押しをしました。次期主力戦闘機がNATO各国で広く使われるような戦闘機になれば、3分の1は日本が造ることになるからです。日本が部品や整備を提供できなければ、NATOの主力戦闘機が飛ばないことになる。

同盟には確かに条約の関係もありますが、防衛装備のつながりは準同盟に近い。もしかしたら、それよりも強い絆なんです。インドがロシアと手を切ることができないのは、もともとインドの装備はロシアから提供を受けているからです。今、アメリカが懸命にインドに装備の提供を行おうとしていますが、狙いはそういう意味です。ですから、今回、次期主力戦闘機の開発をイギリス、イタリアと組むのは大きな意味があります。

防衛装備移転の原則見直しは喫緊の課題

塩田:日本が防衛装備でイギリスやイタリアと協力する場合、日本企業はどんな役割を。

小野寺:今の最新鋭の戦闘機F-35に使われている複合材は日本の技術です。ステルス塗料の開発にも、日本の技術が関わっています。ただ残念ながら、日本は今まで防衛装備に関して制約が多くて、共同開発に入れなかった。日本は防衛装備の移転の原則を政府がまだ認めていない。技術は使われているけれども、それで日本が物を作ったり、日本の企業が潤ったりすることはなかった。もう二度とこんなことはしたくない。

もしF-35の開発のとき、日本が入っていれば、かなりの部分を日本が造っているわけで、取得するコストも下がります。企業も技術投資ができるぐらいの収益が上がる。ですから、次の開発は日本がしっかり入りたい。そのためには、ぜひとも政府に装備移転の原則の見直しをやっていただきたいと思っています。

塩田:日本がイギリス、イタリアと組んで戦闘機の開発を進めるプランに関して、その本部はイギリスに置き、日本人がトップになる見通し、という報道がありました。その点について、日本と2国間の同盟を結んでいるアメリカは、どういう対応姿勢ですか。

小野寺:条約を作るので、本部やトップ人事は来年の国会での問題です。実は日本は装備移転の原則を見直さないと、今の段階ではできないんですよ。このまま行くと、日本は外されるかもしれない。装備移転の原則の見直しは、まだできていませんが、日本の安全保障の根幹に関わると思っています。

私は今、与党国家安全保障戦略等に関する検討ワーキングチームの座長で、装備移転を早く進めなければと思っていますが、根っこは同盟関係という視点です。NATOが日本との間で同盟に近い関係を持つことは、日本にとって大きな抑止力になる。条約に入れなくても、防衛装備を通じてその関係を作れる。これを進めることが、抑止力とこの地域の平和につながると思います。

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