語られない「台湾有事」ロシアの重要な立ち位置 中国に「引き摺り込まれる」可能性もある

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2022年2月の露中共同声明ではロシアの中国政府への支持を改めて表明しており、この文書では、ロシアと中国は「核心的利益の保護のための強力な相互支援を再確認する」と述べている。中国政府にとって、台湾より重要な核心的利益はない。

ロシアと台湾の関係はけっして温かいものではなかったが、ウクライナ侵攻以降、さらに冷え込んだ。台湾政府はウクライナ侵攻直後、経済制裁を導入し、ロシアが半導体を含む台湾の先端技術を軍事目的で使用することを防いでいる。ロシア政府は報復として台湾を非友好国・地域のリストに加えた。

また、2023年7月には、台湾政府が最近退役したホーク地対空ミサイルをアメリカに売り返す意向であると報じられた。その後、アメリカはこの兵器をウクライナに供与することになる。台湾のコメンテーターで元政治家の郭正亮氏は、もしこれらのミサイルがロシア航空機を撃墜すれば、ロシアは台湾に対して報復しようとするだろうと警告した。

消極的なアシスタント?

中国が本当に台湾を侵攻した場合、ロシアは中国にとって有益な軍事力を持っている。ロシア陸軍はウクライナ戦争によって大幅に弱体化したが、ロシア空軍と海軍は比較的影響を受けていない。

理論的には、ロシアの飛行機や艦艇が侵攻の第一段階となる台湾への大規模攻撃に参加する可能性がある。この最初の攻撃の目的は、台湾の防衛能力を破壊し、中国の水陸両用強襲部隊に道を開くことである。

2019年、中国とロシアの爆撃機が日本海と東シナ海の上で定期的な共同飛行を開始した。6回目となる最新の共同飛行は今年6月に行われた。ロシアと中国の海軍も東アジアで頻繁に演習を実施している。

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