「気性の荒い独裁者」を見くびってはならない 米攻撃が全面戦争につながるリスクは多大だ
「朝鮮半島第3次核危機」はクライマックスを迎えるのだろうか。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が政権基盤の盤石さを内外に見せつけるのが4月25日の朝鮮人民軍創建85周年イベントだ。
北朝鮮は、その国威発揚の年中行事にあわせて6回目の核実験実施の動きを見せている。そうしたなか、トランプ米政権は米空母を朝鮮半島近海に派遣、さらに日米首脳電話会談と米中首脳電話会談の「政治ショー」をたて続けに開催した。
米国は金正恩氏に軍事的・外交的圧力をかけることで、核実験や弾道ミサイルの発射実験といったさらなる挑発行為を自制するよう、強くけん制している。
5月9日の韓国大統領選挙までは自制か
北朝鮮は少なくとも5月9日の韓国大統領選挙まで、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を見送る可能性が高い。さらなる挑発行為に出ると、南北の緊張が高まり、大統領選で韓国の保守層に追い風を吹かせることになるからだ。
北朝鮮としては何とか親北派の文在寅氏に勝たせたい。さらに、核実験やミサイル実験を強行すれば、中道左派の安哲秀氏に加え、文氏も、米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD〈サード〉)の韓国配備について賛成に回りかねない。
また、現在のように、日米韓中の4カ国が、まるで太陽系の惑星が一列に並ぶ「惑星直列」のように、共同戦線で北朝鮮に強烈に対峙(たいじ)しているのは歴史上、極めて異例だ。
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