大阪に行くと、必ず立ち寄る立ち飲み屋ののれんをくぐる。カウンターに案内され、身を寄せると、厨房とカウンターを仕切る場所には、美味しそうな一品料理がずらりと並んでいる。どれを頼んでも舌鼓を打てそうだ。
ふと目を上げると、上に「手羽先唐揚げ」と書かれたメニューが。すぐさま頼み、待つ。
「手羽先唐揚げ」と書かれた横に、朱で「お美味しい」とある。あ、外国人の店員が間違えて書いたのかな、と思ったが、なんだか実に微笑ましい。
「美味しい」に加え、さらに「お」。なんだかかわいらしく、かつ丁寧に作られているような印象を受けて、料理がさらに美味しくなりそうな感じだ。
日本語としてはおかしい。でも、正面切って「おかしいやないかい」なんて言うのも、ひどく野暮。声に出すのも見苦しい。
響きだけ聞いても、実に美味しそうになるからいいじゃないか。そう思っている途中で出てきた生ビールを口にし、それから少し経って出されたこの手羽先唐揚げに食らいついた。
実に「お美味しい」。
「境界線の引き方」
実はこのお店は、関西在住の友人の紹介だ。ほどなくして友人が来店。常連の彼が「店員が注文を聞きに行くと、なんだ、外国人がいるのかこの店は、と言ってくる客がいる」とつぶやく。声の主は、どこにでもいるような会社員風の男性だ。
前述の「お美味しい」にも「間違っとるやないか」と、むきになって言ってくる客もいるようだ。



















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