保険代理店で行政処分連発、求められる保険会社の“営業変革”。日増しに強まる金融庁からの改善圧力

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金融庁とFPパートナーが運営する店舗の看板
(写真:編集部撮影)
保険業界で不正事案が続発。営業のルールを定めた保険業法と監督指針が11年ぶりに大幅改正される。大手各社はどう立ち向かおうとしているのか。『週刊東洋経済』8月23日号の第1特集は「保険 大転換」だ。
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金融庁が、東証プライム市場に上場する中古車販売大手ネクステージと、「マネードクター」のブランド名で保険代理店事業を展開するFPパートナーに対して、保険業法に基づく業務改善命令を出した8月6日。生命保険業界に大きな衝撃が走った。

代理店の行政処分と並行する形で、FPパートナーとの取引が多いとされるアクサ生命保険、東京海上日動あんしん生命保険、SOMPOひまわり生命保険、アフラック生命保険、なないろ生命保険、メディケア生命保険、はなさく生命保険、FWD生命保険の計8社に対して、金融庁が保険業法に基づく報告徴求命令を出したのだ。

いったいなぜそのような事態になったのか。

そもそも、生保各社が自社商品の優先的な取り扱いなどを狙って、FPパートナーに多額の広告費を支払ったり、見込み客の情報(リーズ)を無償で提供したりといった過度な便宜供与をしていたことが問題になったのは、今から1年前のこと。

その際、生保8社の担当者は次々に金融庁に呼び出され、ヒアリング調査を受けている。

金融庁は当時、損害保険業界で行われていた過度な便宜供与などを背景とする歪んだ取引実態を適正化しようと、東奔西走していた。その様子を生保も大きな関心を持って眺めていた。

想定外だった生保の反発

そのため、金融庁の圧力がいよいよ生保業界にも向き始めたと自覚し、生保各社は「きっとすぐに金融庁に白旗を揚げて、過度な便宜供与は今後改めると宣言するのだろうと見ていた」(大手損保役員)。

ところが、一部の生保は金融庁に対して「これは過度な便宜供与には当たらない」などと言って、徹底抗戦する構えを見せた。

広告宣伝をはじめとした民間企業同士の一般的な取引について、監督官庁がいちいち首を突っ込んでくるな、と言わんばかりの姿勢だったという。

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