保険代理店で行政処分連発、求められる保険会社の“営業変革”。日増しに強まる金融庁からの改善圧力
それでも金融庁は、「社会通念に照らし合わせて、個々の取引が適正なのかそれとも過度なのかということに、見当がつかないふりをしている人たち」(金融庁幹部)を相手に、ヒアリングを繰り返し、任意での関連資料提出を求めながら、歪んだ取引を見直すよう粘り強く促していった。
結果として、各社が過度な便宜供与の見直しで足並みをそろえたのは、今年に入ってからだ。あんしん生命など一部の生保は、半年以上にわたって金融庁に抗戦していたことになる。
そうした情けない生保の姿を見るにつけても、本当に問われるべきは、行政処分を受けるような問題のある代理店にすり寄っている生保の行状ではないか。そのような思いを金融庁が強くしたことが、今回の異例の報告徴求命令につながったように映る。
さらに、今回の報告徴求命令は「生保8社に対する行政処分の前触れという見方もできる」と、大手生保の役員は解説する。
先述したように、8社に対しては、金融庁によるヒアリング調査が繰り返し行われている。そのため、報告徴求命令を出したところで、新たな事実が出てくる可能性は低い。
金融庁としても、生保がひた隠しにしている何らかの事実について、掘り起こそうなどとは考えていないはずだ。
それよりも金融庁としては、「正直者がバカをみるような運用にならないようにするために、あえて報告徴求命令を出したのではないだろうか」(同役員)。
昨夏からのヒアリング調査はあくまで任意のものだ。そのとき正直に洗いざらい打ち明けた生保が処分され、のらりくらりとお茶を濁した生保がおとがめなしとなってしまっては、まずいわけだ。
そこで今回、虚偽報告に対して罰則のある報告徴求命令を出し、ごまかしが利かない形でFPパートナーとの取引実態を報告させる。そうして悪質性の高い生保を改めて見極め、立ち入り検査→行政処分という流れに持っていこうとしているのではないか。
いずれにしても、保険金不正請求問題に端を発し、損保の不正問題の解決に心血を注いできた金融庁の視線が、生保業界に移り始めていることは確かだ。
激しさを増す攻防戦
その一方で、アフラックなど一部の生保は、比較推奨販売ルールの変更を主体とする監督指針の第2弾改正案について「経営への影響が大きすぎるとして業界内外でことさらに騒ぎ立てている」(別の大手生保役員)という。
ネクステージとFPパートナーへの行政処分で大きな区切りを迎えるかに思われた金融庁と保険業界との攻防戦は、沈静化するどころか、今後さらに激しさを増すことになるかもしれない。
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