日本の重要資源が海外流出中?《EVバッテリー》流出が暗示する「8兆円市場喪失」の未来

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大量の自動車
中古EVの大半が海外に流出している(写真:bilanol/PIXTA)
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EV(電気自動車)バッテリーの海外流出が止まらない。それに伴い、潜在的な巨大マーケットの喪失と、資源安全保障の危機がすぐそこまで迫っている。

レアメタルなどの貴重な資源を豊富に含む

EVバッテリーは、動力源として利用されて使用限界に達した後も一定の容量を保持している場合が多いため、定置用蓄電池(住宅や病院、工場などの建物に設置され、非常用電源や太陽光発電といった余剰電力の蓄電などに利用される)をはじめとして別の用途でリユース(リパーパス)される。

さらに、リチウム・コバルト・ニッケルなどのレアメタルを豊富に含むため、その後のリサイクルにおいてこれらの資源が回収され、新しい車載バッテリーの製造に投じられる。このようにEVバッテリーは、リユース・リサイクルにおいても高い価値を発揮することから、「サーキュラーエコノミー」の形成が期待される。

サーキュラーエコノミーとは、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄の経済モデルに代わり、廃棄物をできるだけ減らして、資源や製品を循環させながら活用することを前提とした新しい経済システムのことだ。

EVバッテリーのサーキュラーエコノミーモデルは図1のように表される。EVバッテリーはEVの動力源に活用された後、車両から取り外され、健全な状態を維持しているものは別の用途でリユースされ、状態の悪いものはリサイクルされレアメタル等の資源が回収される。

EVバッテリーのサーキュラーエコノミーモデル
図1:EVバッテリーのサーキュラーエコノミーモデル(画像:日本総合研究所)
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