日本の重要資源が海外流出中?《EVバッテリー》流出が暗示する「8兆円市場喪失」の未来

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都市に存在する使用済み製品や廃棄物に含まれる資源を都市鉱山と呼ぶが、EVにも「EV鉱山」と呼ぶべき潤沢な埋蔵資源が含まれているにもかかわらず、それらが短期的な経済利益を求めて海外に流出してしまっているのである。

また、このような中古EVの海外流出が原因となって、その先のリユース・リサイクルに流通するEVバッテリーの量が少なくなり、結果としてこれらの処理能力を確保するための設備投資も進まないという課題も見えてきている。

このような状況を打開できなければ、わが国では巨大マーケットが失われ、さらに資源安全保障のリスクが顕在化するという“二重苦”に陥りかねない。

中古EVの国内発生台数と輸出台数(累積値)
図3:中古EVの国内発生台数と輸出台数(累積値)(画像:日本総合研究所)

中古EVの流出が止まらない理由

中古EVの海外流出が止まらない根本的な原因は、EVバッテリーの消耗具合が不明瞭であることだ。

中古車販売大手のネクステージが実施したアンケート調査によると、中古EVの購入・所有に不安を感じるユーザーは全体の68.4%に上り、また中古EVの購入時に最も気になる点として53.7%のユーザーが「バッテリーの消耗具合」を挙げている。

EVバッテリーの劣化度合いは、ドライバーが急速充電を行う頻度やEVの使用環境に大きく影響され、ばらつきが大きいが、現状では多くのユーザーが残存性能を把握する方法を持たず、いわば、購入時に“中古EVガチャ”とでも呼ぶべき状況になっている。

このような状況から、「あと何年乗れるのか」という不安を抱えたユーザーが中古EVを敬遠した結果、中古EVのリセールバリューが低下し、さらに新車としてEVの購入を検討するユーザーが「将来的に高く売れる可能性が低い」と購入を躊躇してしまう、負のスパイラルが発生している。

しかし、従来はこのような車載バッテリーの残存性能を評価することが難しかったものの、近年では短時間で簡易的に残存性能を評価することを可能とする「電池診断技術」の台頭がめざましい。

電池診断技術を活用することで、中古EVの残存性能を正確に評価することが可能となり、適正価格での取引を実現できる可能性が高まる。さらに、電池診断技術はリユースされる電池の評価にも活用することができるため、いわばサーキュラーエコノミー形成の起爆剤になりうるキーテクノロジーといえる。

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