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中国軍の「台湾包囲」演習が示す新常態への思惑 台湾社会への圧力を狙った一種の心理戦か

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頼清徳総統の就任直後、中国軍は台湾周辺で演習を実施。その狙いは。

台湾周辺での軍事演習の実態は一種の心理戦だったとみられる。写真は参加した中国海軍の艦艇内(写真:Getty Images)

5月24日、中国人民解放軍が台湾周辺で行っていた軍事演習が終わった。解放軍東部戦区は演習海空域について、「台湾海峡、台湾本島の北部、南部、東部、および金門島、馬祖島、烏丘嶼、東引島周辺」であると、イメージ図とともに発表した。

中国が台湾を包囲するように演習海空域を設定するのは初めてではない。ペロシ米下院議長(当時)の訪台翌日の2022年8月4日から開始された軍事演習も「台湾を包囲する演習」と呼ばれた。中国の福建海事局はこのとき、台湾を囲むように設定された6つの演習海域に対して、緯度・経度を示して航行警報を発出した。

2年前の演習との微妙な違い

しかし、2022年の演習の海空域とは差異も見受けられる。第1に、先述の4つの島を演習海空域としたことである。これら4つの海空域は、他の海空域と異なり、塗り潰されていない。イメージ図では、4つの島を回るように矢印がついた破線が描かれている。

今回の演習には海警局が参加しているといわれ、これらの島は主として海警局の巡視船がパトロールして、中国の管轄下にあることを誇示したいのではないかと考えられる。

第2は、台湾東部の海空域が台湾に近寄り、日本の排他的経済水域から離れたように見えることである。日中韓首脳会談を前に日本を過度に刺激したくなかったのか、日米に抗議の口実を与えたくなかったのかは定かでないが、中国の主張と矛盾する部分もある。

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