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ニデック、不適切会計疑惑が複数見つかり、経営陣関与の可能性も浮上。足元では関税未払いで決算遅延中。ガバナンス問題が多発するのはなぜ?

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ニデックではここ数年、ガバナンス問題が相次いでいる(撮影:編集部)

ニデックが「不適切会計」疑惑で揺れている。

ニデックは9月3日夕方、「ニデック本社やグループ会社の経営陣が関与した可能性のある不適切会計の疑いが複数発見された」と公表した。翌9月4日の株価は急落し、制限値幅の下限(ストップ安)となる前日比700円(22%)安で取引を終了。9月5日は反発したものの、戻りは鈍い。

ニデックが公表したリリース「第三者委員会設置のお知らせ」によると、7月22日に子会社の二デックテクノモータ(京都市南区)から、ニデック本社の監査等委員会にある報告があがったことが端緒だ。テクノ社の中国子会社であるニデックテクノモータ(浙江)において、「2024年9月下旬にサプライヤーからの値引きに相当する購買一時金(約2億円)に関して不適切な会計処理が行われた疑いがある」との内容だった。

これを受け、ニデックが社内の監査等委員会の監督の下、メールやパソコンの操作記録などを解析するデジタルフォレンジック(電子鑑識)も含めて調べたところ、テクノ社以外でも不適切会計を疑わせる資料が複数発見されたという。

その内容については、「資産性にリスクのある資産に関して評価減の時期を恣意的に検討しているとも解釈しうる」としている。現状の調査体制には限界があり、客観的な調査のために外部の弁護士・公認会計士からなる第三者委員会を設置し、事実関係を詳しく調査する。

足元では関税未払いによる決算遅延続く

そもそもニデックでは、今回の件とは別に、イタリア子会社のニデックFIRインターナショナルによる「貿易取引上の問題」で混乱が生じていた。

当社ホームページによれば、この子会社は建設機械や家電向けのモーターなどを製造している。製造品の原産国表記に誤りがあり、本来支払うべき関税が未払いの状態になっていた可能性があるという。

これに伴い社内で同様の不備はないか追加調査が続いていた。この影響で、現在に至るまで、2025年3月期の有価証券報告書(金融商品取引法によって各事業年度終了後3カ月以内の提出が義務付けられている)と、2026年3月期第1四半期の決算短信が発表されないままになっている。

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