総会前日に突如発表されたシャープの社長交代。鴻海は新任を含むすべての取締役に反対票を投じた。なぜここまでシャープと鴻海の関係はこじれたのか。急浮上した堺工場のAIデータセンター構想、シャープ再建の行方は。
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「各位股東朋友們、大家好(株主および関係者の皆様、こんにちは)」
日本語であいさつした昨年とは違い、母国語で株主総会の開会を告げたシャープの呉柏勲(ご・はくくん)氏にはまったく覇気がなかった。
それもそのはず。シャープは総会前日の6月26日午後に社長交代を突然発表。総会後の取締役会を経て、呉氏は社長の座を追われることが決まっていたからだ。呉氏は10分ほど発言した後、今後の経営戦略などについての説明を沖津雅浩・新社長に譲って降壇した。
一般的な上場企業において、総会前日に社長交代を発表することはほとんどない。とくに大手企業であれば、年明け早々から遅くとも3月末までには社長人事を発表し、6月の株主総会まで半年程度の期間をかけて準備を進めるのが通例だ。
前日に公表したことで、株主のほとんどは社長交代を知らないまま議決権を行使したことになる。総会に訪れた株主には「急な社長交代の理由を聞くために来た」(60代の株主)という人も多かった。
関係者によれば、今回の社長交代はシャープ社内でも直前まで周知されておらず、親会社である台湾・鴻海精密工業の意向が強く働いた結果だという。しかも、鴻海は社長をすげ替えるだけでは飽き足らず、社長以外も含めた取締役全員の選任についても、異議を唱えていた。
鴻海は新任含めた取締役全員に反対
7月1日に開示された臨時報告書によると、シャープが提案した取締役候補者6人全員の賛成率は60%台前半と極めて低かった。呉氏の賛成率は前年比で27ポイント超下落したが、焦点はそこだけではない。
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