台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が就任から5年が経過した劉揚偉董事長(会長)のもと、人工知能(AI)を軸とした収益構造の改革を加速している。世界最大手である電子機器の受託製造サービス(EMS)で生成AI向けサーバーの受注・供給を拡大するほか、AIを活用して電気自動車(EV)やロボットの付加価値も上げる戦略だ。
大型液晶パネルで巨額の赤字を計上し、生産撤退を決めた子会社シャープもこの戦略に沿って再建を目指すもようだ。
「AIサーバーの売り上げが今年は4割以上増える見通しだ。2025年には売上高1兆台湾ドル(約4兆8000億円)超のビジネスに育つだろう」。劉氏は5月31日、台湾・新北市の鴻海本社で開いた株主総会でこうぶち上げた。冒頭の40分間を使って10種類の経営テーマを株主に説明したが、AIサーバーにそのうち12分間を割く力の入れようだった。
鴻海は前董事長の郭台銘(テリー・ゴウ)氏が1974年にテレビ部品メーカーとして創業し、パソコンや一般的なサーバーのEMSへと事業を拡大した。近年はアメリカのアップルの「iPhone」の約6割を受託製造するスマートフォンが売上高で2兆5000億台湾ドル(約12兆円)規模の主力製品となっている。
しかし、スマホ市場は成長が鈍化しており、新たな製品領域の開拓が課題となっていた。
エヌビディアとの蜜月を強調
「皆さんも私が昨晩、ジェンスン・フアン氏の宴会に参加したニュースを見たでしょう」。劉氏は株主に対し、台湾滞在中だったアメリカ半導体大手エヌビディアのフアン最高経営責任者(CEO)との蜜月ぶりも訴えた。鴻海は3月、エヌビディアがアメリカで開いた開発者会議に最新のAIサーバーを出展していたが、総会でも会場の近くに実機を展示していた。
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