シャープの親会社である鴻海精密工業CEOの独占インタビュー。シャープを抱える意義、再建策、そして堺データセンター構想についても語った。
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6月27日、シャープの株主総会が行われた。シャープは大型液晶パネルの生産から撤退し、小型液晶の製造規模を大幅に縮小。半導体事業なども売却する予定だ。株主からは「黒字化に向けてあいまいな説明しかない」と不満の声が上がった。財務基盤も脆弱である。
総会前日の26日、シャープは社長交代を発表した。呉柏勲社長が副会長となり、沖津雅浩副社長が社長に昇格する。さらに翌27日には、親会社である台湾・鴻海精密工業の劉揚偉董事長が、シャープ会長を兼任する人事を発表した。
もはや自力での再建は厳しそうなシャープだが、鴻海はどうみているのか。巷間ささやかれているように残った事業を切り売りし、買収から8年で「エグジット」するのか? 再建できるなら、どういう策があるのか。
これらの疑問に、鴻海の劉董事長が答えた。取材は書面で行い、シャープ総会前日の6月26日に回答を得た。
シャープのどこを評価しているのか
――劉董事長を含む鴻海の経営幹部は、公の場で「シャープの再建を支援する」と複数回発言している。具体的にはどう支援するつもりなのか。追加出資のような財務面での支援も検討しているのか。
シャープは鴻海にとってパートナーであると同時に、重要な資産でもある。われわれは今、3+3戦略(3大未来産業=EV、ヘルスケア、ロボティクス+3大コア技術=人工知能、半導体、次世代通信)を進めており、どの分野も成長が著しい。
鴻海がこの戦略を推進するうえで、シャープのずば抜けた製品設計力と技術力、そしてブランド力が、これから大きな役割を果たしてくれると信じている。
裏を返せばシャープにとっては、鴻海が手がけるAIデータセンターやEV、次世代通信といった領域に参画できるようになるわけだ。シャープの技術に、鴻海が持つ事業領域の広さ、顧客との深い関係性が加われば、シャープには今まで以上の成長機会が訪れるだろう。
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