鴻海主導で構造改革を進めるシャープ。KDDIやデータセクションなどとの連合で「AIデータセンター」構築を協議中だが、不可解な点が浮上している。
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液晶パネル製造の不振を背景に、2年連続で巨額の最終赤字に沈んだシャープ。起死回生の一手として5月にぶち上げたのが「AIデータセンター」構想だ。この計画で今年9月末までに生産を終える予定の大阪・堺市の液晶パネル工場跡地の利活用を狙う。
シャープは2012年から2016年にかけて、大阪・堺市の液晶パネル工場を中心とする事業会社、堺ディスプレイプロダクト(SDP)の株式を鴻海の創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏の投資会社に売却している。低採算事業を切り離し、シャープの連結業績を安定させるためだった。
ところが、2022年2月に突如買い戻しを発表。発表からわずか4カ月後に約400億円で再度子会社化した。その直後からシャープの業績は再び急激に悪化。2022年度の最終赤字約2600億円に続き、2023年度も液晶事業の不振を原因に、約1500億円の最終赤字となった。
単なるKDDIとの提携ではない
すでにパートナー候補に名前が挙がっている通信大手2社のうち、ソフトバンクとの構想は比較的シンプルだ。工場全体の敷地の6割をソフトバンクがシャープから買い取り、受電容量が約150メガワット規模のデータセンターを構築する。実現した場合、データセンターの運営主体はソフトバンクになる。
一方、KDDIなどと進める交渉のスキームはやや複雑だ。データセンターの運営は、東京証券取引所グロース市場上場のデータセクション、シャープ、KDDIの3社で設立する予定の合弁会社が担う計画。念頭にあるのは、ソフトバンクが買収を検討する工場や土地とは別の敷地だという。
KDDIの役割は現在のところ「ネットワークの構築や運用面におけるサポート」とされており、新聞等で報道されているような「シャープとKDDIの提携」ほど単純な構図ではない。
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