
「EV(電気自動車)はスマートフォンとはわけが違う。鴻海などにまともな車が作れるはずがない」
自動車業界の関係者の少なからずが、こう考えているだろう。たしかに自動車には工業製品の中でも、極めて高度な安全性が問われる。「ベストエフォート(最善の努力)」が通用する通信機器の世界とは、製品の品質に問われる責任が段違いに高い。
とはいえ、侮ってはならない。日本の自動車メーカーは現状すでに、アメリカのテスラと中国BYDという新規参入組に、EVで完全に後塵を拝している。ましてや鴻海はエレクトロニクス産業で突出した経営力を誇り、同社抜きには産業が成り立たないほどの企業だ。
そこで連載3回目では、鴻海の実態を7つのデータで解明する。自動車関係者はもちろん、戦略コンサルタントも必読である。
爆発的な成長と引き換えにしたもの
①売上高は70倍
鴻海の創業は1974年。50年を超える歴史を持ち、決して若い企業ではない。しかし企業としての成長は、21世紀に入って本格化した。2000年からの24年間で、売上高は70倍に拡大。直近の2024年は6兆8596億台湾ドルと、日本円換算では32兆9002億円に上った。
世界の上場企業では23番目に大きく、韓国サムスン電子とほぼ同程度。日本の上場企業で鴻海より大きいのはトヨタ自動車しかない。
だが鴻海のこの爆発的な成長は、収益性と引き換えだった。24年前は2ケタ%あった営業利益率は、直近の2024年には2.9%にまで下落している。
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