中国研修旅行-厳しい北京の環境と、内向きなアメリカ人学生《若手記者・スタンフォード留学記 31》
日本がWBC優勝に沸いた3月24日。北京滞在中だった私は、優勝の瞬間をリアルタイムで味わうことができませんでした。
ホテルに帰った後、Youtubeで感動のシーンを観ようと思ったのですが、あいにく中国ではYoutubeの閲覧が禁止。その数日後、ニコニコ動画は中国でもアクセス可能なことを知り、無事、イチローのヒットシーンを拝むことができました。
WBC決勝ナマ観戦のチャンスを諦めてまで出かけた中国への研修旅行。それに見合う価値があったか?と振り返ると、その答えは、”五分五分”というところです。
勉強面では満足でしたが、生活面では不満だらけでした。
英語が堪能な人ほど、話が退屈
北京で訪れた場所は、外交部(日本の外務省に相当)、世界銀行、国連、清華大学、北京大学、中国人民大学などなど。現地の大学院生も含め、合計20人ほどの中国人・現地在住の外国人に会いましたが、印象的だったのは、「英語の堪能さと話の深みが、見事に反比例していた」ことです。
最も話の中身が濃かったのは、英語は流暢ではないながらも、自分の経験や思索を基に、言葉を絞り出している人々。一方、話がつまらない人に限って、「この会談はオフレコでよろしく」と頼んでくるのには、閉口しました。
とくに、現地に住むアメリカ人の話は、欧米メディアに書いてあることばかりで、あくびが出ました。やはり、いかに現地に深く根ざしても、欧米人がアジアの国の真髄に迫るというのは、本当に難しいことなのでしょう(逆もまたしかりで、アジア人が欧米諸国を深く理解するのもまた難しい)。
アメリカにも、カリフォルニア大学サンディエゴ校のバリー・ノートン氏、スーザン・シャーク氏など、レベルの高い中国研究者はいますが、クラスメイトと話していても、一般的なアメリカ人の中国理解は、日本人以上に低いように感じます。
今回の旅で会った中国の外交部副部長(日本でいう外務副大臣)も、「欧米メディアの報道はあまりにバイアスがかかっている」と繰り返し主張していました。中国も情報統制しているので、どっちもどっちだと思いますが、欧米メディアに文句をつけたくなる気持ちは、わかります。