中国研修旅行-厳しい北京の環境と、内向きなアメリカ人学生《若手記者・スタンフォード留学記 31》

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 この連載の3回目「日本人の英会話を改善する3つのヒント」で、私は「英語は”発音”ではなく”中身”というのはウソ」と述べましたが、今回、自分の意見の浅はかさを反省しました。英語は流暢であるに越したことはありませんが、中身がついてこないと、顰蹙を買い、軽蔑されるだけです。

軟弱な私には厳しい北京の環境

中国には、これまでも観光や仕事で4度訪れたことがあるのですが(香港、広州、桂林、大連の4都市)、ホテルと取材先、観光地の行き来だけで、日常のシーンに迫ることはできていませんでした。ピカピカの北京国際空港から、立派な高速道路にのって、高級ホテルで数日を過ごすだけでは、北京の上っ面しか見えません。

ということで、今回は、なるべく生の北京を体験してみようと、団体行動が義務付けられている以外の時間は、一人で地下鉄にのって、いろんな場所を散策してみました。

辟易させられたのは、やはり衛生状態です。空気が汚いのは、周知のことですが、便所から、路地から、レストランから、何から何まで、日本人の感覚からすれば、全体的に清潔さに欠けます。空港や高級ホテルではトイレもきれいですが、一般のレストランや観光地では、そうは感じられません。

世界遺産の頤和園(いわえん)を訪れると、清潔とは言い難い公衆便所で野菜を洗っているおじさんがいたり、都心の大型書店に入ったら、ホコリまみれで、くしゃみが止まらなくなったり、路地裏のレストランに入ると、とても濁った水槽で魚を飼っていたり(もちろん、その店では、魚料理は頼みませんでした(笑)。

街の衛生状態は、経済発展の度合いに比例する部分が大きいでしょう。が、文化的な要素も大きいように感じます。

1865年に清と幕末の日本を訪れたドイツの考古学者、ハインリッヒ・シュリーマンは、北京と上海の街の汚さを強調する一方、「日本人が世界でいちばん清潔な国民であることは異論の余地がない」と語っています。シュリーマンにとって、経済力において日本を上回っていた当時ですら、中国の街は、汚く見えていたのです。

一度北京に滞在した後、スタンフォードで学んで、北京に再赴任した子持ちの知り合いが、北京赴任を嫌がっていましたが、1週間滞在しただけで、その気持ちがよくわかりました。

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