アメリカは巨人、日本はソフトバンク--プロ野球を通して考える国際政治《若手記者・スタンフォード留学記 35》

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 また、地元九州出身の選手が多く、FAにはあまり積極的ではありません(日本も、民族的な同一性が高く、移民には積極的ではありません)。ファンが熱狂的で、団結力があり、福岡はメシもうまい(日本も、団結力があり、メシがうまい(笑))。

ただ、潜在能力自体は高いため、良い戦略とリーダーを手に入れれば、復活する力は充分にあるでしょう(日本も、政治さえうまく機能すれば、国力を上げることは充分に可能でしょう)。現在は、王監督が退任し、西武(=EU)出身の秋山監督のもと再起を図っている最中です(日本も、長年のアメリカモデルから脱し、成熟国家で大きい政府型のヨーロッパモデルへと舵を切ろうとしているように見えます)。

3) 中日=中国--光る戦略的思考。着実に伸びるチーム力

2007年には日本一に輝くなど、球界における存在感をぐんぐん増しています。スター選手が少なく、派手さはありませんが、計画的な若手育成を心がけ、着実にチーム力を伸ばしています(中国も、有名な企業こそ多くないですが、共産党が中長期の計画をきっちり立て、経済力の拡大を進めています)。

WBCでも、唯一、選手の参加要請を拒否するなど、わが道を行く。巨人中心の球界秩序に安易に屈しない、チャレンジ精神が感じられます(中国も、世界の潮流に逆らうことを意に介しません。中長期的には、アメリカの覇権に挑もうという野望も見え隠れします)。

落合監督は、マスコミに多くを語らないため、何を考えているのか良くわかりません(中国政府も、軍事を筆頭に情報公開が悪いため、疑心暗鬼を産んでいます)。

お膝元の名古屋は、言わずと知れた自動車産業の中心。ここ数年は、トヨタ景気に沸き、元気のない日本で一人、気を吐いていました(中国も、「世界の工場」として、製造業を中心として稼ぎまくっています)。ただ、今年は、世界不況によるトヨタの不振により、シーズンチケットの売れ行きが鈍いようです(中国も、輸出企業が大打撃を受け、失業者が急増しています)。

愛知は、徳川家康・織田信長・豊臣秀吉ら偉大な戦略家を産んだ地であり、戦国時代から江戸時代にかけて、ある意味、日本の中心であったといっても過言ではありません(中国も、明からアヘン戦争以前にかけて、世界最大の経済規模を誇る国でした。また、孫子、諸葛孔明など、超一流の戦略家を多く輩出しています)。

5) 阪神=ロシア--最悪期は脱した。でも、まだ安定感に欠ける

人気面でも戦力面でも巨人と張り合った阪神(ロシアは、旧ソ連として、冷戦時代はアメリカと張り合った超大国)。その後、長期の低迷を経て、野村監督(ゴルバチョフ書記長?)が先鞭をつけた改革が実り、強権的な星野監督(プーチン大統領)の下、18年ぶりのリーグ優勝を飾った(ロシアも、オイルマネーの追い風で、大国としての地位を取り戻した)。

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