さよならスタンフォード、ただいま日本《若手記者・スタンフォード留学記 40・最終回》
過去10カ月にわたって続けてきたスタンフォード留学記も、ついに最終回を迎えることになりました。「留学記」というタイトルにもかかわらず、連載が進むにつれ、オピニオン色が強くなってしまいました。ご容赦ください。
今回は、過去2年間のスタンフォード生活の総括として、私が得た教訓と収穫を5つ紹介させていただければと思います。
アメリカの学生が勉強する3つの理由
1つ目の教訓は、アメリカの学生も日本の学生も、素材としては特に差はないということです。
私の所属していた学科は、さまざまな学部の授業を履修することが可能であったため、過去2年、経済学部、政治学部、ビジネススクールなど、多くの学部の授業を受けるチャンスがありました。
たとえば、今学期に履修した、ジョン・テーラー教授の授業。テーラー教授は、金融政策のテーラー・ルールで世界的に有名な経済学者で、ブッシュ政権では財務次官を務めた人物です。
これは学部の4年生と大学院生の合同の授業だったのですが、授業・テストの内容が簡単なのと、学生の質問・プレゼンのレベルの低さに正直驚いてしまいました(教授は、心温かい人物で、内容も面白かったのですが……)。私が大学の学部時代のゼミで会った先輩やクラスメイトの方が賢かったように思います。
ほかの授業に関しても、たまに鋭いコメントを発する人間はいますが、あとは(私も含めて)ドングリの背比べです。大して差はありません。討論を重視するのは、アメリカのすばらしい点ですが、しゃべることが先行しすぎて、基礎知識がおろそかになっている学生が多いような感を受けました(日本は逆に討論が少なすぎると感じます。日本とアメリカの中間ぐらいがちょうどいいのかもしれません)。
ですので、日本の大学で突出している人間は、アメリカでも(英語を抜きにすれば)十分に伍することができます。レベルの高い学生同士を比較すると日米に差はありません。
ただ、平均値という意味では、やはりアメリカの学生のほうが優秀でしょう。
それには、3つ理由があると思います。