さよならスタンフォード、ただいま日本《若手記者・スタンフォード留学記 40・最終回》
1つ目は、よく言われるように、成績が就職のときに重視されるから。2つ目は、読書量と書く量が多いから。怠けることが許されないので、普通の学生のレベルが上がります。3つ目は、娯楽が少ないから。より絞っていうと、男の立場からすれば、カワイイ女の子が少ないから勉強に集中できる。過去2年間を振り返って、私がカワイイなと思った女性は、わずか5人でした(笑)。
この3つの仮説を周りの友人にぶつけると、第3の理由はかなり不評でした(笑)。
「ただ単にあなたから見てカワイイ子が少ないだけでしょ。アメリカ人から見ればカワイイ女の子も多いはずでしょ」というのがその理由です。まあ、カワイイ女の子うんぬんは個人的な偏見として、「スタンフォードは退屈だ」とは、複数のアメリカ人の友人も言っていたので「娯楽がないから勉強する」というのは一理あると思います。
もちろん、娯楽という点でも、私のような留学生がうかがい知れないところで、いろいろな楽しみがあるのでしょうから、あまり確信めいたことは言えません。ただ、学内を歩いているカップルと思しき男女を目にすることはあまりなく、「手をつないでいる男女がなぜこんなに少ないのか」と、中国人・韓国人の友人がそろって驚いていました。
以前、(記憶が正しければ)鴻上尚史氏が、日米の大学生の差をこう説明していて、深くうなずいた記憶があります。
「アメリカの学生は中学高校で十分に遊んでいる。だから、大学で勉強する。しかし、日本の高校生は受験勉強で遊ぶヒマがない。だから、大学で遊ぶのは当然」。
日本とアメリカでは、大学の位置づけそのものが、違うのでしょう。
実務家兼研究者の層の厚さに驚く
2つ目の教訓は、アメリカの大学のすごさ、面白さは、学生よりむしろ、教授陣や研究者やその他の知的リソースにあるのではないか、ということです。
もちろん、学生同士で刺激を受けることも多々あります。
ただ、私の場合、歳のせいもあるかもしれませんが、学生同士の会話より、スタンフォードのみならず全米からやってくる、教授や政策担当者などの講演を聴きにいって、質問したりするほうが楽しかった。特に、専門家同士が繰り広げる、質疑応答は中身が濃くて勉強になりました。