ゼロインフレ脱却の可能性が高まり、日本企業の経営は改善。仮に株価収益率が15倍を超えても割高ではない。

2025年6月27日に日経平均株価が約6カ月ぶりに4万円台を回復した。さらに6月30日には4万0487.39円まで上昇を続けた。
約1年前を振り返ると2024年7月も約3カ月ぶりに4万円台を回復し、同月11日に4万2224.02円と過去最高値を更新している。その後、日本銀行によるややサプライズとなった利上げ、米雇用統計における米失業率の4.3%(市場予想4.1%)への上昇などを経て8月5日に日経平均株価は3万1458.42円に急落した。
過去最高値更新から1カ月経過しないうちに1万1000円近く下げ、下落率は25.5%に達した。筆者はこの日経平均株価の急落を日経平均タントラム(かんしゃく)と呼んでいる。
2024年夏との大きな5つの違い
では2025年夏も、昨年同様の日経平均タントラムは起きるのか。筆者は昨年と大きく5つの違いがあり再現の可能性は低いとみている。
1つ目の違いはドル円レートだ。2024年7月11日は1ドル=158円台で、その前週は1ドル=160円台で推移していた。投機的な動きで円安が維持されていたとみられ、円高進行の余地が大きかった。
実際、8月5日には1ドル=144円台まで約14円も円高ドル安が進行。一方で2025年6月末は1ドル=144.0円と2025年以降の日米5年物金利差とドル円レートの相関関係の示唆する水準に近い。今年9月と予想されるFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ再開が近づくとともにさらに円高が進む可能性はあるが、10円を超える円高が短期間に進むリスクは小さい。
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