日本株はどうやら「反発で安心」とはならなそうだ 今後相場を左右しそうな注目指標とイベント

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
(写真:Kiyoshi Ota/Bloomberg)

「こんな下げはこれまで経験したことがなかった」。東京都在住の40代の男性は肩を落とす。米国株中心に日本株や債券、暗号資産にも投資してきた。週明けの8月5日には目先の底と判断して暗号資産のイーサリアムを購入したところ、下落して損失確定売りを余儀なくされた。保有株の一部を事前に売却し利益確定していたが、焼け石に水。「これで今年の税金対策は完璧……」と自嘲ぎみに語る。

市場参加者が意識していた「サーム・ルール」

世界の金融・商品市場が大激震に見舞われた。日経平均株価は5日に前週末比4451円28銭安の3万1458円42銭と大幅に下落し、一気に昨年末の水準を割り込んだ。値下がり幅は「ブラックマンデー」翌日の1987年10月20日を上回り、過去最大を記録。欧米でも株価が軒並み値を下げるなど世界同時株安となった。

原油価格や暗号資産など他のリスク資産にも売りが殺到。日本株は6日に売り方の買い戻しなどが入って前日比3217円高と一転して過去最大の上昇を演じたが、金融市場は波乱含みの状況が続く。

今回の日本株急落の背景にあるのは、アメリカの景気の後退懸念の高まりや、外国為替市場での円高ドル安の進行だ。アメリカの労働省が2日に発表した7月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比11.4万人増にとどまり、市場予想の同17.5万人を大幅に下回った。5月と6月の数字も下方修正。失業率は4.3%と市場予想の4.1%を上回り、いずれもアメリカの雇用市場の軟化を示唆する結果となった。

これを受けて、発表後のニューヨーク株式市場では取引開始直後から売りが膨らみ、ダウは前日比610ドル安と大幅に値下がりした。

市場参加者の間で意識されていたのが「サーム・ルール」である。アメリカの経済学者のクラウディア・サーム氏が考案した指標で、失業率の過去3カ月の移動平均が過去12カ月間の最低値から上方へ0.5%乖離すると経験則上、景気後退(リセッション)局面入りするというものだ。7月の失業率が4.3%へ上昇したことで、「同ルールのシグナルが点灯した」と多くの市場参加者が受け止めた。

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事