さよならスタンフォード、ただいま日本《若手記者・スタンフォード留学記 40・最終回》



 日本の中国に関する分析は、イデオロギー的な悲観論か、根拠に欠ける楽観論が中心で、説得力のある悲観論・楽観論が決定的に不足しているように私には感じられました。中国とアメリカの地域研究を筆頭に、軍事・外交・経済分野の人材育成は、日本の命運を握る最優先課題だとの思いを強くしました。

「一流の頭でっかち」の必要性

第4の収穫は、自分の未熟さ、自分の現在地を確認することができた点です。

英語力について言うと、読む能力はともかく、書く・聞く・話す、どれをとってもまだまだです。異文化コミュニケーション力も足りません。

留学生活を通じて、世界で伍してやっていくためには、どの程度の英語力、コミュニケーション力が必要かというのが、おぼろげながら体感できたのは大きな収穫です。日本に帰って、どんな努力をすべきかの、メドも立ちました。

基本的に、英語力も異文化コミュニケーション力も、努力とともに「慣れ」の部分が大きいので、苦労することはある程度、織り込み済みでした。しかしながら、知識という点での自分の力不足は予想以上でした。

学生時代から、それなりの読書家だと勝手に自負していましたが、質・量(とくに質)ともに、お話にならないことが判明したのです。本を濫読したつもりでしたが、実際にはさして身に付いていなかったのです。

柔らかくて気軽に読める本を10冊読んでも、得られるのは散漫な知識とたくさん本を読んだという自己満足のみ。それよりも、内容が深くて、机に座って集中しないと読めない本1冊を読むほうがよっぽど大事だと痛感しました。

私が思うに、知力増進のカギとなるのは、「知識のインプット能力」です(詳細は29回を参照)。良いソムリエに良書を紹介してもらい、それを徹底的に読み込み、「書く・しゃべる」を通して、頭を整理する--このプロセスを繰り返すことで、一流の「頭でっかち」へと近づくことができます。

日本では、「本ばかり読んでいてもダメだ」という意見が有力です。それは正しいのですが、現場主義だけでもダメです。現場ばかりを見ていると、視野が狭くなるおそれがあるからです。「机上の学問 OR 現場主義」ではなく、一流の頭でっかちでありながら、現場主義でもある人間--それが、今後の日本を担うリーダー像だと思います。

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