米国・EU・日本・中国・ロシア・インド--世界6大国の戦力を分析する《若手記者・スタンフォード留学記 36》
前回は、国家をプロ野球の球団にたとえながら、国際政治の今を概括してみました。今回は、もうちょっと真面目に(笑)、具体的なデータを交えながら、6つの大国-米国、EU、日本、中国、ロシア、インド--の戦力を分析してみたいと思います。
はじめに、国の力を定義するには、2つの点を明確する必要があります。
ひとつ目は、「国の力を構成する要素とは何か」という点です。
たとえば、プロ野球ならば、打力、投手力、守備力、監督力、フロント力の5つが戦力を決定づけます。国家レベルの戦力分析については、専門家の間で諸説ありますが、最もオーソドックスな方法は、「経済力」、「軍事力」、「政治力」、「文化力」という4つの力と、「人口」と「地理」(国土の広さや天然資源の量など)の2つの要素を組み合わせるやり方でしょう。
2つ目のポイントは、「その国力を成す6つの分野のどれに比重を置くか」です。
これは、時代と分析者の価値観によって大きく左右されます。
時代背景という点では、第2次世界大戦以降、軍事力の相対的な重要性が下がり、逆に経済力の相対的な重要性が上がり続けています。ソ連崩壊の最大の理由の1つは、軍事にばかりお金を投じて、経済を蔑ろにしたことです。ただし、軍事力が依然として国力の源泉であることも事実で、日本・ドイツのように経済に専ら集中してきた国は、やはり超大国にはなれない。
私個人は、「国力=経済力4割、 軍事力2割、政治力1割、文化力1割、人口1割、国土1割」といったあたりをイメージしています。
どの分野に重点を置くにせよ、アメリカの圧倒的な優位は変わりませんが、軍事、とりわけ、核兵器を重視すると、中国、ロシアは、アメリカに次ぐ大国となります。たとえば、より軍事力にフォーカスしている「Great Power Politics」というウェブサイトは、アメリカに次ぐ国として、中国、ロシアを上げ、日本を4位においています。