米国・EU・日本・中国・ロシア・インド--世界6大国の戦力を分析する《若手記者・スタンフォード留学記 36》
3点目が政治力。
この分野は、「国連の常任理事国であるか」「IMF(国際通貨基金)での議決権をどれだけ有するか」に着目しました。「国連なんてお飾りで意味がない」という方もいらっしゃるでしょうが、少なくとも、国連がないよりましな以上、そこで大きな発言権を持つことは国際的な政治力につながります。合わせて、IMF、世界銀行などの国際機関は、国際経済・金融のフレームワークを決める重要な機関です。
この分野では、アメリカ、EUが頭2つ抜けています。
一方、日中比較では、引き分けというところでしょうか。
近頃、スタンフォードに講演にやってきた、ジョージタウン大学のマイケル・グリーン教授(ブッシュ政権でアジア政策を担当)は、「日本は常任理事国ではないけれど、IMFでアメリカに次ぐ議決権を持ち、中国はIMFの議決権は日本より低いけれど、国連の常任理事国。国際政治における、中国と日本の国力は同じくらいだろう」と語っていました。
ただし、中国の望みどおり、今後、IMFでの議決権が増し、米中の一部の知識人が唱える「G2(米中2国のみの首脳会談)」が制度化されれば、政治力でも日中逆転が起きるでしょう。
カワイイ大使と日本のソフトパワー
4つ目が文化力です。
文化力というと曖昧な感じがしますが、芸術、ポップカルチャー、価値観、高等教育などを総合したもの、ジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授が唱える"ソフトパワー"と同じ意味と受け取ってください。
ソフトパワーを数値化するのは難しいですが、一つ参考になるのは、米国のマーケティング会社「GfK」が発表している「国家ブランド指数」です。これは、世界中の20,157人に対して、各国の「政府のガバナンス」、「文化的な魅力度」、「国民の魅力度」など6つの指標についてインタビューした調査です。
順位を見ると、ドイツ1位、フランス2位、イギリス3位とEU勢が上位を独占。日本が5位で、アジアの国として唯一トップ10にランクインしています。他の大国勢は、アメリカ7位、ロシア22位、インド27位、中国28位、となっています。