目の前にあるリンゴは、脳がつくり出した映像にすぎない。この世のすべてのものは、存在しているままに見られないという認知の不条理

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目の前にあるリンゴから見えてくること(写真:ks__1984/PIXTA)
人間の「見る」という行為を分析していくと、不思議なことが明らかになる。目の前に何かしらの物体があるとすると、ほとんどの人はその物体を自分が見ていようが見ていまいがそこに存在すると考えているが、実は違うというのだ。
韓国でミリオンセラーとなった教養書『全人類の教養大全2』著者のチェ・ソンホ氏によると、世界を理解する手がかかりとして重要な議論があるという。それはかの有名な哲学者イマヌエル・カントが提唱した「観念論」だ。
カントによると、目の前に広がる感覚的な外部世界は、実際には、自分の内面世界によってつくり上げられた“何か”だという。
あなたの目の前にあるものは、本当は何なのだろうか。その物体は「そこに見たままに存在する」と言えるだろうか……。

見えないはずのものを見たつもりでいる

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あなたが手にリンゴを持っているとする。リンゴはどこにあるだろう?

「何を言っているんだ」と思うかもしれない。当然、リンゴはあなたの目の前にある。

ところが、目で見るということについて細かく考えてみると、おかしいと思わないかな?

僕たちが目で見るというのは、光源から放たれた光の粒子がリンゴの表面にぶつかったあとに、はね返って僕たちの水晶体を通過して、網膜を刺激することをいう。

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