脆く危うい「脳という臓器」最先端研究を基に講義 『夢を叶えるために脳はある』書評

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『夢を叶えるために脳はある 「私という現象」、高校生と脳を語り尽くす』池谷裕二 著
夢を叶えるために脳はある 「私という現象」、高校生と脳を語り尽くす(池谷裕二 著/講談社/2420円/672ページ)
[著者プロフィル]池谷裕二(いけがや・ゆうじ)/東京大学薬学部教授。薬学博士。脳研究者。海馬の研究を通じて脳の健康や老化について探究を続ける。1970年生まれ。『脳には妙なクセがある』など著書多数。高校生への脳講義シリーズには、『進化しすぎた脳』『単純な脳、複雑な「私」』もある。

7000キロメートル離れた米国とブラジルで、2匹のネズミの脳をインターネットでつなぎ、ほぼリアルタイムで脳の情報を共有する。そんなSFのような実験が実際に行われた。ネズミは何を感じ、何を考えたのだろう。

本書は、第一線で活躍する東京大学の脳科学者が高校生10人を相手に3日間にわたり、講義・討論した記録だ。脳は何のためにあるのか、人らしさとは、私たちの見ている「現実」とは──。最先端の研究成果をひも解きながら、世界の原理を問う旅へと読者を誘(いざな)う。そのプロセスは鮮やかで、一級の講義とはこういうものかと唸(うな)ってしまう。

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