イ・スラは1992年、韓国・ソウル生まれの作家だ。学資ローン返済のため、2018年に有料メールマガジン「日刊イ・スラ」を始めた。SNSで購読者を募り、月額1万ウォン(約1000円)で毎日1編書き下ろしの随筆を配信する。書籍化に際しては自ら出版社を興し、今や5万部超のベストセラーというから、日本でいうネット作家兼ひとり出版社だ。『日刊イ・スラ 私たちのあいだの話』(朝日出版社、21年)には、連載から精選した41編が訳出されている。
家女長(女=むすめ)制を採用
本書は彼女にとって初の「小説」である。鉤(かぎ)括弧をつけたのはフィクションと断定しがたい側面を持つからだ。主人公「スラ」は29歳の作家で自著の版元「昼寝出版社」の社長でもある。社員は2名、実の両親の「ウンイ」と「ボキ」。こう書けば『日刊イ・スラ』の読者は、元文学青年の父ウンイと、料理上手の母ボキを思い出すだろう。
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