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斎藤真理子氏が語る「韓国文学の解けない謎」 『増補新版 韓国文学の中心にあるもの』著者・斎藤真理子氏に聞く

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『韓国文学の中心にあるもの』著者の斎藤真理子氏
[著者プロフィル]斎藤真理子(さいとう・まりこ)/翻訳者。1960年生まれ。2015年、『カステラ』(パク・ミンギュ著、ヒョン・ジェフンとの共訳)で第1回日本翻訳大賞受賞。訳書にチョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』、ハン・ガン『別れを告げない』、ファン・ジョンウン『ディディの傘』など。著書に『本の栞にぶら下がる』など。(撮影:増永彩子)
近年、韓国の小説が次々と訳されヒット作も生まれている。2024年にはハン・ガンがノーベル文学賞を受賞した。なぜ韓国文学は読み手を引き込むのか──。そんな問いが希有なブックガイドを生んだ。文学作品を足がかりに歴史へと分け入るものだ。
増補新版 韓国文学の中心にあるもの
『増補新版 韓国文学の中心にあるもの』(斎藤真理子著/イースト・プレス/1980円/368ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──韓国文学の中心には何があるのですか。

当初から、朝鮮戦争が中心に来るだろうとは思っていました。本書のために講座を開いたり連載したりするうちに視点がどんどん朝鮮戦争へと向かい、書き上げたら思った以上に強調される結果となりました。

韓国のさまざまな社会問題の原因が、北緯38度線(北朝鮮との休戦ライン)にある。本書は、現在に近い『82年生まれ、キム・ジヨン』(女性の社会的不平等を描いて日本でもヒット)から日本の植民地支配が終わった1945年まで時代をさかのぼる構成ですが、新しい時代の課題であっても、南北分断が続いていることでつねに状況が過酷になるのです。例えば、韓国で男女の間の葛藤が激しいのも、男性に兵役があるからです。

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