「愛の不時着」「シュリ」にも登場!謎多き“韓国のCIA”『国家情報院』の実態とは?工作員は“ホテルで体液を採取”することも

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韓国では情報機関の存在が一般の人に広く知られ、時に娯楽作品のテーマにもなっている(写真:metamorworks/PIXTA)
韓国のドラマや映画を見ていると、「コクジョウイン(国情院)」という組織がよく出てくるのに気が付きます。韓国の国家情報機関である国家情報院です。
『愛の不時着』『ナルコの神』『シュリ』『IRIS』『黒い太陽』『工作 黒金星と呼ばれた男』などに登場していて、「そういう組織があるんだ」と知った方も多いのではないでしょうか。
日本の公安と似た組織のようでいて、実は日本より格段に大きな権限と政治性を持っているのが国情院。しかし、その組織の詳細はこれまでヴェールに包まれており、日本で紹介されることはほとんどありませんでした。
そんな中、ソウル特派員経験のある共同通信の佐藤大介氏は、新著『韓国・国家情報院』で、大統領直轄の情報機関・秘密警察である国家情報院の全貌に迫りました。
以下では佐藤氏が、韓国エンタメにもよく登場する国情院の実態について解説します。

韓国エンタメに頻出する国家情報機関

「コクジョウイン」という単語を聞いて、「国家情報院」を連想する日本人がいれば、よほどの韓国マニアかスパイ映画のファンだろう。

韓国の国家情報機関である「国家情報院」は、一般に「国情院」と略され、日本の情報機関など関係者の間では「コクジョウ」と呼ばれることも多い。

一方で、韓国の人にとって「国情院」を意味する「クッジョンウォン」という言葉は広く知られている。

情報機関として独立した政府機関なだけに、その動向や人事などは韓国メディアによって逐一報じられているためであるが、韓国の現代史と情報機関の存在を切り離すことはできず、1980年代の民主化運動を経験した世代にとっては忌まわしき記憶として刻まれているからだ。

日本にも警察の公安部門や公安調査庁などの情報機関があるが、韓国の情報機関が持ってきた権限や政治性は日本よりも格段に大きく、韓国政治に深く関わってきた。

中央情報部(以下、KCIA)を発祥とする韓国の国家情報機関は、時に大統領と肩を並べるほどの権力を持ち、民主化運動の時代には市民に徹底的な弾圧を加えた。

そうした情報機関の動きはドラマ性もあり、韓国ではこれまで多くの映画やドラマのテーマにもなってきた。その代表作とも言える作品が、1999年に韓国で製作された映画『シュリ』だろう。

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