体外離脱、光のトンネル、人生の記憶がよみがえる現象、三途の川……。臨死体験の研究が哲学的な議論を巻き起こす

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臨死体験研究によって「自分」という存在が明らかになる(写真:metamorworks /PIXTA)
「この世」の終わりである三途の川を渡ろうとしたら、「あの世」にいる人から「まだ早いよ」と言われて引き返した……。死に瀕したのちに、生還した人たちがこのようなことを語るのを聞いたことがないだろうか。こういった体験は、くだらないオカルトだろうか。
医学の解明が進んだ現在、臨死体験はまったく信憑性がないともいえなくなった。
もっとも、まだ全貌が解明されたわけではなく、死の直前の脳の異常活動によるものだと、臨死体験研究じたいを否定する人たちもいる。しかし、この臨死研究は、意外な「人間の意識についての哲学的な議論」につながっている。
理解を進めるために、韓国でトリプルミリオンセラーとなった『全人類の教養大全』シリーズ著者のチェ・ソンホ氏の解説を見ていこう。

増加している臨死体験の経験者数

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臨死体験は「Near Death Experience」の頭文字をとって「NDE」ともいう。

医学的な定義は、死に瀕した人が特別な体験をして生還する現象のことをいう。中世の資料にも臨死体験に関する資料が残っているけれど、議論がはじまったのは最近だ。

その背景にあるのは、医学の進歩だ。技術発展のおかげで、一度止まった心臓や呼吸をふたたび動かすことが可能になって、臨死体験をしたという人が増えたのだ。

具体的な例として、自分の身体を外から眺める体外離脱、光のトンネルを通過する体験、穏やかな気持ち、知覚能力の拡大、耳鳴り、死んだ知人との遭遇、人生の記憶が一気によみがえる現象、「あの世」と「この世」の境界線での回帰などがある。

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