体外離脱、光のトンネル、人生の記憶がよみがえる現象、三途の川……。臨死体験の研究が哲学的な議論を巻き起こす

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このような体験の特徴は、おおむね文化圏・地域・人種・宗教には関係なく普遍的な構造を持つということだ。とくに、文化的な体験が少ない幼少時の臨死体験も、大人と同じパターンを示すのはとても興味深い。

なぜまったく違う人生を歩んできた人たちが

不思議なのは、ほとんどの臨死体験者が、彼らがもともと持っていた宗教的な信念と臨死体験を結びつけて考えないという点だ。もともと信仰していた宗教から離れて、より普遍的な考察に興味を持つようになったと報告されている。

また、体験者たちは日常生活での変化を感じることもある。まわりの環境や人びとを配慮するようになったり、知識を増やしたいという欲求が強くなったりするといったことで、死に対する恐怖がなくなったケースもあるという。

臨死体験の比較的詳細な記録としてあげられるのが、1991年のパム・レイノルズのケースだ。

歌手兼作曲家だった彼女は、34歳のときに脳の病気を患った。彼女の主治医は、体温を15℃に下げて脳内の血液を抜いた状態で手術を行った。

この手術は、当時の医療関係者や科学者たちの注目を集めた。脳の血液を抜いた状態で手術が行われるので、もし彼女が臨死体験をするなら、臨死体験は脳が機能を失ったあとに経験するものだという証拠になるからだ。

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