韓国留学バブル崩壊! ニッポンの若者よ、留学するなら今がチャンス《若手記者・スタンフォード留学記25》



「もし金融危機が長引いたら、トップスクールへの留学は金持ちだけの特権になってしまって、社会的な格差が広がる可能性が高い。アッパーミドルクラスの家庭が子供を海外に送るには、相当な犠牲を払う必要があるだろう。」("Global Financial Crisis Upends the Plans of Many South Koreans to Study Abroad", The New York Times, January 9th 2009)

今なら、留学は400万円お得

ひるがえって、今、留学を目指す日本の若者には千載一遇のチャンスが訪れています。

第1に、円高のおかげで、コストが格段に落ちている。

私が、アメリカに来たときは、1ドル=120円でしたが、今は90円。2年間の留学に、ざっと13万ドルかかると仮定すると、2年前に比べ、約400万円(13万ドル×[120円-90円])もお得です。ガソリンの値段も下がっていますし、不況のため、バーゲンの値引き率も上がっていますし、自動車の価格も随分下がっています。さらに、もしお金が足りなければ、低金利で借金できます。生活全般のコストが下がっているわけです。

第2に、留学生の志願者が減って、留学生間の競争率が下がる可能性が高い。

留学生の多くが財政難に直面しているため、韓国のみならず、インドでも、アメリカの大学への志願者数は2割ほど減るだろうと予測されています(”Student prefer India over U.S. for higher study”, SiliconIndia, January 8th, 2009)。大学側は、留学生全体の比率を大まかに決めるのが一般的なので、これまでより日本人は入学がしやすくなるはずです。

第3に、歴史の変わり目を、世界の中心で体感できるということです。

落ち目にあるとはいえ、アメリカは依然、唯一の超大国です。そこで、様々な国の人間と学びあい、新しい時代の行く末について考え抜くことは、必ず貴重な財産になります。1945年から1990年まで続いた「冷戦時代」、1990年~2008年まで続いた「アメリカ一極支配の時代」が終わり、次にどんな時代が来るのか。今、この問いを脳みそに汗をかくほど考え抜けば、その成果は今後20年は活きるのではないでしょうか。

私自身は、第10回快楽のないアメリカ文化、成熟国家の若者には物足りない?で書いたように、もう日本は成熟国なのですから、国全体で留学生数を中国や韓国といたずらに競う必要はないと思っています。

しかし、もし留学に興味があり、多少のリスクをとる覚悟があるなら、ぜひ留学にチャレンジしてもらいたいとも思うのです。今の金融危機は、日本人にとって、留学して知識・知恵を蓄える絶好のチャンスなのですから。


佐々木 紀彦(ささき・のりひこ)
 1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、東洋経済新報社で自動車、IT業界などを担当。2007年9月より休職し、現在、スタンフォード大学大学院修士課程で国際政治経済の勉強に日夜奮闘中。

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