今の日本は敗戦間近の1940年に似ているのかもしれない《若手記者・スタンフォード留学記 37》


 つい数日前、休憩がてら、図書館で『文藝春秋』の5月号を読んでいたところ、思わず膝を打ちたくなるような文章に出会いました。

雑誌の最後尾にある連載コラム(塩野七生さんの連載と並ぶ必読のコラム)の中で、文芸評論家の坪内祐三氏がこう述べています。(ちょっと長いですが、先月号ということで部数に影響しないでしょうから、引用をお許しください)

去年の暮れから日本は大きく変わった。

例えばバブル以前バブル以降という言い方があるが、実は、日本は、それ以前以降でも変化なかった。

バブルは崩壊していたはずなのに、やがてまた景気が復活する日が来る、と信じ込んでいた(新聞やテレビのニュースが、「いざなぎ景気」を抜いたと報じていたのは、たった二年前のことだ)。

たしかに今はあまり景気が良くない。しかしいつか復活の日が来る、と思っていた。

それがいよいよペシャンコになった。

太平洋戦争以来の本当の敗戦である。

本当の敗戦であるから、焼け跡が広がっているはずなのに、太平洋戦争後のそれとは違って、ビルはいまだ立ち並び、つまりヴィジュアルではそれが把握されていない(焼け跡でありながらビルが立ち並ぶ姿はかえって不気味だ)。

私が悲観的なことを口にしているのかといえば、そうではない。

焼け跡を前に、私はちょっとわくわくしているのだ。何だか、いよいよ新しい時代に立ち会っている、という気がして、わくわくするのだ。

この文章を読んで心が躍ったのは、ちょうど私もまったく同じことを考えていたからです。

一つだけ違いを述べるとすれば、今の日本は、"敗戦の真っ只中"にあるというより、むしろ、"敗戦の直前"にあるのではないか、ということです。

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