中国経済は、短期中立、中長期では悲観?(上)《若手記者・スタンフォード留学記 33》


 「スタンフォード留学記なのに、また中国ネタか!」と突っ込まれそうですが、今週も、中国の話題を取り上げさせてください。今回は、中国の経済について考えてみました。

日本のメディアでは、中国経済の話題になると、「中国は崩壊・分裂する」といった極端な悲観派と「中国はいずれアメリカを抜く」といった極端な楽観派に分かれる傾向があるように感じますが、どちらもリアリティに欠けます(その点、『週刊東洋経済』の中国特集はレベルが高い‥と宣伝させてください)。

中国通の方には、ありふれた話も多いとは思いますが、識者の意見も交えながら、中国経済の短期・中長期の行く末を、自分なりに考えてみたいと思います。

8%成長は至難。でも、「暴動による崩壊」は非現実的

まずは短期的な経済動向から。

今回の旅で、多くの経済学者やビジネスマンに会いましたが、おおむね、足元の経済動向には楽観的でした。各専門家の話を総合すると、以下のような感じです。

「世界不況により、米国、EU、日本向け輸出が急減し、広州など輸出依存度が高い地域は苦しんでいる。200万~300万人に上る失業者をどう救うかは大きな問題だ。しかし、中国は金融面でのダメージはほぼ皆無だし、内需の伸びも見込める。4兆元(約58兆円)に上る巨大な政府の投資によって、今年8%の経済成長は充分に実現可能だろう。しかも、中国はアメリカと違って財政が健全なので、財政赤字の心配をする必要もない」

私は、この意見はちょっと楽観的すぎるように感じました。

2009年の8%の成長率は厳しいと思います。輸出は今年中に底打ちしたとしても、回復は鈍いでしょうし、個人消費も低空飛行が続いています。巨大な公共投資があっても、5,6%台の成長率を維持するのが精一杯ではないでしょうか。

ただ一方で、俗に言われる、「失業者が団結して、大規模な反政府運動が勃発する」といったシナリオも現実性が低い。もちろん、小規模な暴動の数は上昇するでしょうが、それが現体制の崩壊につながるとは思えません。

1989年の天安門事件以来、中国は治安維持能力を大幅に強化。国内の不満分子を摘発する中国人民武装警察の人員は、約25万人に達しています。さらに、数万人のネット検閲要員が、日々、インターネット上をパトロールしているわけで、大規模な反政府運動を組織するのは極めて難しいのではないでしょうか。

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