《若手記者・スタンフォード留学記12》夫婦留学のススメ、妻が帰国して痛感するありがたさ

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 冒頭から、プライベートな話で恐縮ですが、スタンフォードで1年間一緒に暮らしてきた妻が、今朝、日本へと帰国しました。

といっても、幸いながら、妻に三行半をつけられて、離婚の危機を迎えているわけではありません(笑)。妻が日本に帰るのは、日本で仕事を再開するからであります。第7回の出生率について語ったコラムで、「これからの男は、妻のキャリアを真剣に考えるべきだ」と偉そうに提言した身としては、有言実行がかない、ほっと胸をなでおろしています。
 
 さて、今日は、1年間の妻への感謝の気持ちをこめて、夫婦で留学することのメリットについて、語ってみたいと思います。
 
孤独から解放され、”友達の輪”が2倍3倍に広がる
 
 夫婦留学の最大のメリットは、何といっても、孤独感がなくなるということでしょう。
 
 私は、大学4年の時に、ロンドンに3か月ほど留学したことがあるのですが、初めての海外暮らしということもあり、いかにロンドンの街が好きでも、孤独感に苛まれることが多々ありました。日本人は海外に出ると、過剰に祖国を意識してしまう、とはよく言われますが、当時の私も、気分だけは、明治時代の国費留学生のつもりでした。

ただ、往々にして、過剰な気負いは空回りにつながりやすいもので、自意識過剰になったり、些細な事柄でストレスを溜め込んでしまった記憶があります。
 
 その点、傍らに好きなだけ愚痴をこぼせる相手がいるというのは、心強いものです。孤独から、変に思いつめたりすることがないですから。夏目漱石も、奥さんと一緒にロンドンに留学していたら、あんな風にノイローゼにならなかったかもしれません(あのノイローゼ経験がなかったら、帰国後の名作は生まれなかったかもしれませんが...)。

その上、夫婦留学は孤独を取り除いてくれるだけでなく、人付き合いの輪を、2倍、3倍に広げてくれます。このメリットは計り知れません。
 
 スタンフォードの周辺には、州が提供する無料の英語教室があり、そこには、学生や学生の家族らが数多く通っています。妻は、その英語教室に通ったり、アメリカ人に日本語を教えたりする中で、多くの人たちと知り合い、そのつながりで、夫婦一緒にいろんな国籍の人々と交流するチャンスに恵まれました。

学生生活に没頭していると、クラスメイトなど狭い範囲の人づきあいにこもりがちですが、妻とタッグを組めば、交際範囲が2倍、3倍に広がっていきます。性格的に、固定したメンバーと馴れ合いになっていくのが苦手な私としては、専攻や国籍を超えて、多様なバックグランドをもった人たちと出会えたことは、とても幸運でした。

パーティーするなら、やっぱり夫婦

夫婦の場合、家に友人を招いて、小さなパーティーを催すといった、心づかいがしやすいのも大きな強みです。
 
 やはり、一度家に招いて、酒を飲みながら、肝胆相照らして語りあうと、国籍を超えて、親近感が芽生えてくるものです。あらためて数えてみると、スタンフォードに来てから1年間で、我が家では20回ほど小さなパーティーを開き、友人のパーティーに誘われたのを合わせると、パーティーの回数は過去1年間で計50回近くに上りました。

つまり、わが夫婦は、一週間に1回のペースで、なんらかのパーティーに参加していたわけですから、なかなかのパーティーマニアです(笑)。そのうち、ほぼ半分は妻の友人がらみだったので、2人でコンビを組むことで、2倍貴重な経験をできたことになります。まあこれも、さしたる娯楽のないスタンフォード(→第10回参照)では、せめてもの、慰めといえるわけです。

つい先日も、中国人の友人を3人家に呼んだのですが、自家製お好み焼きを、「今年食べた料理の中で一番おいしかった」と絶賛してくれました。彼らが、もって来てくれた餃子も大変美味でした。

翻って、英語の勉強という点では、夫婦留学は“功罪相半ば”というところでしょうか。

その昔、日本マクドナルド会長の藤田田氏は、社員をアメリカに送るとき、夫婦同伴で赴任することを奨励したそうです。その理由は、「夫婦で一緒に英語を学んでくると、日本に帰国した後も、二人で英語を勉強し続ける」と考えたからだそうです。それは、確かに一理あるかもしれません。
 
 その一方で、夫婦留学は、アメリカでも日本語でベラベラとしゃべってしまうので、英語力の伸びが衰える、というリスクもあります。ただ、帰国子女の妻をもつ私の友人が、英語の勉強のために、夫婦間で英語だけの生活をしたところ、会話が減って、夫婦仲がこじれたそうです(笑)。

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