作品ヒットの明暗は「脚本1ページ目」で決まる、エロ・グロに頼るIPが瞬間売上と引き換えに失う"巨大な市場"の代償

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「作品そのものよりも、周辺ビジネスの方が大きな収益を生む」という構造は、決して特殊な例ではない(写真:Graphs/PIXTA)
累計興収1兆円を超えるミュージカル『ライオンキング』。一方で、映画『アバター』の興行成績は、世界歴代興行収入トップを誇るとはいえ約4000億円のスケールです。
アニメか実写か?「恋愛モノ」か「格闘モノ」か? グッズ展開の規模や持続性をはじめ、作品の市場規模はまさに初期の決断に左右されるといえます。目先の注目度を求めた瞬間に失われる、2次・3次展開の巨大市場と、「ギフト化」という隠れた勝ち筋の正体に迫ります。
※本稿は『北極星 僕たちはどう働くか』から一部抜粋しています。

作品の将来は、立ち上げ段階で大半が決まる

国内外でエンターテインメントの開発・運営を手がけるCHIMNEY TOWNでは、「IPの木」という思考フレームを共有している。それは、「作品の将来は、立ち上げの段階で、その可動域の大半が定まる」という前提に立ち、「面白い」という感覚的な評価だけを根拠に、安易にプロジェクトを始動してはならない、という戒めを含んだ考え方だ。

1本の木にたとえるなら、脚本家が筆を執った瞬間は、まだ木の根元に立っている状態に近い。そこから先の選択によって、枝は分かれていく。

たとえば「アニメ」か「実写」か。この段階で「実写」を選んだ場合、肖像権という制約が生じるため、キャラクターを自由に二次展開することが難しくなり、結果としてグッズ展開の規模や持続性は大きく制限されることになる。

皆大好き『スター・ウォーズ』は、映画チケットの売上をはるかに上回る収益を、関連グッズによって生み出している。「作品そのものよりも、周辺ビジネスの方が大きな収益を生む」という構造は、決して特殊な例ではない。

グッズ展開の余地が残る「アニメ」を選択したとしても、そこには次の分岐が待っている。

たとえば「恋愛モノ」か「格闘モノ」か。ここで「格闘モノ」を選べば、「ゲーム化」という選択肢が視野に入る一方で、「ミュージカル化」の可能性はほぼ閉ざされる。必殺技が歌われた日にゃ、たまったもんじゃない。

次ページ「一次」の価値の先にある二次、三次の展開
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