《若手記者・スタンフォード留学記17》私が日本の未来を悲観しない理由。オシャレで有能な日本の若者がたくさんいるから



 2008年は、金融危機を筆頭に、世界史に残る大きな節目の年となるでしょう。そして、日本はこれから、否応なく「1940年体制」からの脱却を迫られます。

自民党一党支配が終わり告げ、官僚の権力が弱まり、正社員の保護が緩み労働市場が流動化し、女性の働く環境が改善され、製造業依存からの脱却が続き、道州制が導入される。こうした改革を実行し、再出発を図るまでに、うまく行けば10年、悲観的に見れば15年ほどかかるのではないでしょうか。

この計算は、日本の近代史のサイクルとも一致します。よく言われる話ですが、日本の近現代史には40年周期のうねりがあります。

1868年に明治維新を成し遂げた日本人は、その40年後、日露戦争の勝利し世界史的な金字塔を打ち立てた。しかしその40年後には敗戦という形で破滅を向かえた。その後、敗戦の危機から復活し、1985年のプラザ合意で日本経済はピークに到達。その後、バブル崩壊を経て、今は下り坂トレンドの真っただ中というわけです。このサイクルどおり進めば、日本は2025年まで右肩下がりを続けていくことになります。

人材という意味で重要なのが、今後10~15年で、団塊の世代が各界の中枢から去り、ポスト団塊がリーダーとなることです。具体的には東大封鎖の年(58歳)の世代からバブル以前の世代(45歳)までです。

私が思うに、彼らは全共闘の騒ぎを冷めた目で見ていて、イデオロギーへの懐疑心が強く、現実主義者が多いように感じます。冨山和彦氏、渡辺喜美氏、竹中平蔵氏、藤原和博氏など、真剣に改革をやろうとして、実績を残している人は、この世代が多いと思います。

もちろん、世代で人間をカテゴライズするのが乱暴なのは百も承知です。団塊以前の世代にも、新しい時代に適応できる柔軟な人もいるはずです。ただ、それはあくまで少数派でしょう。若いころに植えつけられた思考のフレームワークを脱却することは、相当に難しいはずです。
 
 ポスト団塊世代が、現実感をもって、改革を実行していく、そして、それを今35歳以下の世代が受け継ぎ、新しい日本の舵を取る。このシナリオが現実となれば、2020~25年以降の日本は、相当面白いことになってくるのではないでしょうか。

このシナリオを実現するために、何をすればよいか、どんなビジョンを描けばよいのか、それを残りのスタンフォード生活で考え抜きたいと思っています。


佐々木 紀彦(ささき・のりひこ)
 1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、東洋経済新報社で自動車、IT業界などを担当。2007年9月より休職し、現在、スタンフォード大学大学院修士課程で国際政治経済の勉強に日夜奮闘中。

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