分社化すると社会保険はどうなる? プロに聞く!人事労務Q&A

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したがって、このような場合は、「どちらかの会社に適用されている社会保険に加入することを選択する」という届け出手続きが必要になります。

具体的には、役員を兼務することにより新たに加入すべきこととなった会社(適用事業所。以下、同じ)を管轄する年金事務所(または健康保険組合)に「被保険者資格取得届」を提出し、次にその役員が選択するいずれかの会社を管轄する年金事務所(または健康保険組合)に「健康保険・厚生年金保険所属選択・二以上事業所勤務届」を提出することになります。その結果、その役員は選択したいずれかの保険者の被保険者となり、その健康保険証を使用することになります。

なお、保険者として健康保険組合を選択した場合であっても、厚生年金保険の事務は年金事務所が行います。

合算した報酬をもとに保険料算定

次にこの場合の保険料の決め方ですが、保険料の基礎となる報酬額は2以上の複数の会社から支払う報酬額を合算した額で計算し、保険料の算定基礎となる標準報酬月額が決定されます。その標準報酬月額により算出された保険料を各事業所の報酬月額の比率で案分し、その案分した額をそれぞれの事業主が納付しなければなりません。その保険料額は、それぞれの事業主へ納入告知されます。

たとえば、A、Bそれぞれの事業所(いずれも適用事業所)の役員となっている者の報酬が、A社80万円、35万円だったと仮定します。2カ所からの役員報酬の合計は115万円ですので、合算額の標準月額報酬は115万円(健保・厚生)となります。社会保険料はその標準報酬月額によって算出された保険料額を、各事業所の報酬月額の比率で按分し算定します。

<A社(協会けんぽ加入)の保険料負担>
  健康保険料=標準報酬月額(115万円)×保険料率(各都道府県の料率)×(80万円/115万円)
  厚生年金保険料=標準報酬月額(62万円)×保険料率(現在:171.20/1000)×(80万円/115万円)

<B社(協会けんぽ加入)の保険料負担>
  健康保険料=標準報酬月額(115万円)×保険料率(各都道府県の料率)×(35万円/115万円)
  厚生年金保険料=標準報酬月額(62万円)×保険料率(現在:171.20/1000)×(35万円/115万円)

(撮影:尾形文繁)
 

 

石澤清貴

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石澤清貴(いしざわ・きよたか)
東京都社会保険労務士会所属。法政大学法学部法律学科卒。日本法令(人事・労務系法律出版社)を経て石澤経営労務管理事務所を開設。 商工会議所年金教育センター専門委員。東京都福祉サービス第三者評価者。特に労務問題、社内諸規定の整備、人事・賃金制度の構築等に特化して業務を行う。労務問題に関するトラブル解決セミナーなどでの講演や執筆多数。
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