
『週刊東洋経済』では毎年、臨時増刊『本当に強い大学』を刊行し、最新の大学の現状や課題をまとめている(2024年版の購入はこちらから)。
その誌面で作成・利用するデータ等を活用し、各種ランキングを作成している。今回から大学の財務に着目し、東洋経済「私立大学財政データ」の最新データ(2024年3月期決算データ)を使ったランキングを紹介していく。
中でも今回は、「寄付金収入が多い私立大学ランキング」を紹介する。
私立大学の収入の柱は、学生が支払う入学金や授業料といった「学費」(学生生徒等納付金)で、全収入の6~7割を占めることが多い。さらに国や自治体から補助金を得ているが、これだけでは教育や研究の費用は賄いきれない。
そこで各大学は、外部資金獲得に力を入れている。外部資金とは、研究受託などの事業収入や、資産運用による収入などが挙げられるが、大きいのが「寄付金」だ。
卒業生や在学生の保護者、大学関係者、企業などから寄付金を募っている。財務諸表の中で、寄付金の金額は、「事業活動収支計算書」と「資金収支計算書」に記載されている。
「事業活動収支計算書」の場合、「教育目的」の寄付金と「施設整備」のための寄付金に分かれ、施設整備の寄付金は特別収入の部に入るため、公開データだけでは金額を読み取れない大学も少なくない。
そこで、今回は東洋経済「私立大学財政データ」をベースに、2023年度(2024年3月期)の資金収支計算書の「寄付金収入」をランキングに使った。資金収支計算書は、資金の収支を把握するもので、基本的にキャッシュの収支と考えるとよい。つまり、主に現金で得られた寄付金の額ということになる。
一方で、書籍の寄贈や施設の提供など、「現物寄付」は算入されない。大学の収支を把握する事業活動収支計算書には現物寄付が算入されているため、大学によって金額には大きな差があるので注意が必要だ。
あわせて大学の補助金収入、学生生徒等納付金収入も併記した。規模感の把握などの参考にしていただきたい。では結果を見ていこう。
慶應義塾が圧倒的な1位
1位は慶應義塾(慶應義塾大学)で寄付金額は69.23億円だ。2位を20億円以上引き離している。2020年度は112.83億円、2021年度は89.18億円、2022年度は62.59億円と近年、減少が続いていたが、一転上昇に転じた。
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